2009年7月24日(金)「しんぶん赤旗」
北朝鮮問題
非核化なら関係正常化
米国務長官が新提案
【プーケット(タイ南部)=井上歩】クリントン米国務長官は23日、当地で開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)後に記者会見し、北朝鮮が核開発を放棄すれば、米朝国交正常化と平和協定の締結などを行うと述べました。22日の記者会見で提案した「包括的措置」の内容を具体的に述べたものです。
今回の提案の最終目標は6カ国協議の合意と同じ。しかし、6カ国協議が細かな段階的措置を積み重ねる過程で、米朝双方の取るべき措置をめぐる対立からこう着状態に陥ったことを考慮し、一括して包括的解決を図る方法に変えたのが最大の違いです。クリントン長官は、包括的措置は北朝鮮にとって利益となる機会だと指摘していました。
同長官は「完全で検証可能な非核化に合わせて、完全な関係正常化、恒久的な平和体制実現、相当なエネルギー・経済援助が可能だ」と言明しました。米朝国交正常化、朝鮮戦争(1950〜53年)の休戦協定から平和協定への転換は、北朝鮮が「敵視政策」解消措置として求めているものです。
同長官は、核実験やミサイル発射といった「挑発的行為」によっては北朝鮮が望むものは手に入らないと強調。北朝鮮の核開発は北東アジアの軍拡競争を招くと述べ、「これはどの国の利益にもならない」と指摘しました。
クリントン長官は22日、日本、中国、ロシア、韓国の各外相と協議し、国連安保理の対北朝鮮制裁決議を協調して履行していくことを確認しました。同長官は会見で、「5カ国は一体となってアプローチしている」と強調。包括的提案の必要性についても、他の6カ国協議参加国の一致を得ているとの認識を示しました。
22日の日韓外相会談でも、「これまでの反省に立ち、6カ国協議共同声明の完全実施に向けた包括的な取り組みを行う必要がある」との点で一致しました。韓国政府はすでに、北朝鮮の核開発放棄を促進するために、世界銀行などから資金援助を受け、約400億ドル(3兆7500億円)規模の援助基金創設を計画しています。
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