2009年6月12日(金)「しんぶん赤旗」

九州定温輸送

組合排除の解散違法

福岡地裁支部判決 親会社に賠償命令


 運送会社「九州定温輸送」の解散に伴い解雇を通知された北九州市の労働者ら5人が親会社の「ワイケーサービス」(ワ社)に対して解雇の無効や損害賠償などを求めた訴訟の判決が11日、福岡地裁小倉支部で言い渡されました。

 岡田健裁判長は解散を「(労働組合の)分会を排除する意図であった」と認定。解散と解雇が不当労働行為に該当し故意による不法行為も構成するとして1人110万円の損害賠償を命じました。そのほかの原告の請求はいずれも棄却しました。

 判決などによると、原告らは2000年ごろ九州定温に雇用され、トラックの運転手や事務員として勤務していました。運転手らは翌年1月に全日本建設交運一般労働組合に加入し、九州定温輸送分会を結成しました。

 九州定温は05年6月、分会に会社の解散と解雇を説明し、解雇通知書を交付。

 岡田裁判長は、九州定温が組合員を露骨に差別していたことなどを事実認定。ワ社は九州定温の業務を完全に支配できる立場にあったとし、解散の理由を「経営陣が分会の存在を嫌ったことにあったと推認できる」としました。

 解雇の無効については「九州定温との雇用関係が被告(ワ社)との間でなお存続していると主張できるだけの要件は認め難い」としました。

 判決後、原告側の吉野高幸弁護士は「親会社の責任を認め損害賠償を命じたことは評価できる。一部は不当。親会社が労働組合をつぶすために子会社を解散させることの歯止めにはなる」と話しました。



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