2009年5月29日(金)「しんぶん赤旗」
安全軽視 正すとき
欠陥品で息子奪われた母が手紙
消費者庁法案審議 大門議員が首相に渡す
日本共産党の大門実紀史議員は二十八日の参院消費者問題特別委員会で、消費者事故で息子を亡くした二人の母親の無念の思いがつづられた手紙を麻生太郎首相に直接手渡し、二度とこのような犠牲者を生まない消費者行政にするよう求めました。
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大門氏が紹介したのは、パロマ工業製ガス湯沸かし器事故(二〇〇五年)で犠牲になった上嶋(じょうしま)浩幸さん=当時(18)=の母幸子さんと、シンドラー社エレベーター事故(〇六年)で犠牲になった市川大輔(ひろすけ)さん=同(16)=の母正子さんの手紙です。大門氏は「企業のもうけ優先で、安全管理を怠るなかで、何の罪もない、人生これからという大事な息子さんを亡くされた」と指摘しました。
浩幸さんの場合は、死亡事故の前に二十件に上るパロマ湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故が発生していたこと、大輔さんの事故前には、エレベーターの不具合が何件も報告されていた上、事故から三年たった今もどこからも謝罪と説明がないことをあげ、「いったい、経済産業省、国土交通省は何をやってきたのか。霞が関の冷たさに、お母さんお二人は心がズタズタにされたのではないか。二人の願いは、こんな事故を二度と起こさないように、ということに尽きると思う」と麻生首相の認識をただしました。
麻生氏は、二人に「お悔やみ申し上げる」と述べ、「二つの事故は事業者の保護行政から、消費者重視の行政へと、大きく転換する原点になった。消費者庁のなかに今後とも生かしつづけなければいけない」と答弁しました。
二人の母親は、この日の委員会質疑を傍聴し、全会一致の可決を見届けました。上嶋幸子さんは、「今日は息子の月命日に当たるんです。家に帰ったら、息子には『今日の委員会で法案が通ったよ。明日の本会議で成立するから待っててね』と報告したい」と語りました。市川正子さんは、「これからがスタートラインで、身をただす思いです。消費者庁の中身はこれからであり、消費者のための消費者庁となるようにしっかりと見守っていきたい」と述べました。
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