2009年5月14日(木)「しんぶん赤旗」

09年度補正予算案に対する

笠井議員の反対討論

衆院本会議


 日本共産党の笠井亮議員が衆院本会議で行った二〇〇九年度補正予算案に対する反対討論は次のとおりです。


 まず、十分な審議をつくさないまま、採決を強行しようとしていることにたいし、抗議するものです。

 麻生内閣は、昨年来、景気対策を口実に、これまで三度の予算を成立させました。しかし、二〇〇九年度本予算を成立させてまもなく本補正予算を国会に提出したことは、「三段ロケット」が景気回復に役立たないことを自ら認めるものであります。本補正予算も、政権の延命と選挙対策のために、十五兆円という巨額の税金をばらまくだけではないかとの国民の批判は当然であり、断じて容認できません。

 反対理由の第一は、大企業への大盤振る舞いとなっていることです。

 本補正予算は、大企業の資金繰りを支援するために、事業費二十兆円をこえる枠組みを用意しています。「非正規切り」を続け、ため込んだ莫大(ばくだい)な内部留保には手をつけない大企業に、国民の税金をつぎこむことは許されません。

 環境対応車への買い替えや省エネ製品の普及支援策は、消費者への助成という体裁はとってはいますが、外需依存で業績が悪化している自動車業界、電機業界を支援することをねらったものです。

 大型公共事業を前倒しで進めることも重大です。東京外環道をはじめ、小泉内閣時代に「白紙」としていた高速自動車道の計画などを復活させ、大規模に進めようとしています。このようなゼネコン奉仕の事業は、きっぱりとやめるべきです。

 研究開発減税は、大企業が最も恩恵を受ける減税策であります。

 これら大企業応援策は、日本経団連が三月九日に発表した緊急提言に盛り込まれていたものであり、本補正予算は、まさに、財界の要求にほぼ満額こたえるものとなっています。このような財界・大企業奉仕の政治は、ただちにあらためるべきです。

 第二は、貧困と格差を拡大させてきた構造改革路線は、根本的な転換をすることなく、国民生活への支援策は、一時的、限定的なものにすぎないことです。

 雇用保険を受給していない人への職業訓練期間中の生活保障は、「派遣村」をはじめとした労働者の要求が反映したもので当然です。しかし、三年間の措置ではなく恒久的な制度とする必要があります。

 仕事が激減し、倒産・廃業に直面している中小企業へは、これまでの延長ではない抜本的な対策を強めなければなりません。

 子育て応援特別手当は、対象をなぜ就学前の三歳から五歳に限定したのか、支給もなぜ一回きりなのか、いまだにまともな説明がありません。後期高齢者医療、介護、障害者への支援策も、制度の根本的見直しには手をつけず、一時的な取り繕いにすぎません。

 いま、取り組むべきは、社会保障費二千二百億円の削減路線をきっぱりと撤回し、この間、削除した一兆六千二百億円を元に戻し、社会保障充実路線へ転換をはかることです。

 また、農地の貸借を全面自由化し、企業の農業参入に大きく道を開く農地法改悪案の成立を見越し、農地の集約を加速させるための経費を盛り込んだこと、海賊対策を口実とした自衛隊の派遣経費まで盛り込んだことも看過できません。

 第三は、巨額の借金のつけを、消費税の大増税によって国民に回そうとしていることです。

 本補正予算により、〇九年度の公債発行総額は四十四兆一千百三十億円となります。国、地方合わせた〇九年度末の長期債務残高は八百十六兆円に達する見込みであり、国民一人当たり六百四十万円の借金をかかえることになります。

 与謝野大臣は、本補正予算をうけて、「中期プログラム」の改定に言及しています。政府は、消費税の大増税は「社会保障財源の確保のため」と言ってきましたが、巨額の借金の穴埋めが本音であることは明らかであります。このような国民へのつけ回しは断じて容認できません。

 最後に指摘しなければならないことは、西松建設違法献金問題をめぐって、疑惑をもたれた政治家が、その説明責任を最後まで果たそうとしなかったことであります。疑惑の徹底解明なしには、政治のゆがみを正すことも国民の信頼を回復することもありえません。



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