2009年4月25日(土)「しんぶん赤旗」

後期医療

保険証取り上げず

厚労省通知案 低所得や受診中


 厚生労働省は、後期高齢者医療制度で、七十五歳以上の高齢者からの保険証取り上げについて、原則として低所得者を取り上げの対象外とするよう都道府県や広域連合に求める通知案を二十四日までにまとめました。受診中または受診の予定がある人も対象外とします。

 後期高齢者医療制度の導入によって、保険料を一年以上滞納すると七十五歳以上の高齢者も保険証取り上げの対象とされました。保険証を取り上げられて資格証明書を交付されると、窓口でいったん医療費の全額を支払わなければなりません。

 通知案は、保険料の軽減措置を受けている人などの低所得者は「必要な医療を受ける機会が損なわれるおそれが高い」として、原則として資格証明書を交付しないよう求めています。そのほか、医療費の支給を受けている被爆者や障害者、各種の公害被害者など、二十六の事例を具体的に示し、「資格証明書の交付を行わない」としています。

 資格証明書を交付する場合でも機械的なやり方をしないよう注意を促しています。

 日本共産党は、後期高齢者医療制度の導入前から、保険証取り上げを厳しく批判してきました。三月十七日には小池晃議員が「命の危機に直結する。絶対に行うべきではない」(参院厚生労働委員会での質問)と主張。舛添要一厚労相から「しゃくし定規に冷たい扱いをしてはならない」との答弁を引き出していました。今回の通知案は、世論と運動の成果です。


制度自体を撤回せよ

 日本共産党の小池晃参院議員の話 今回の通知案は、高齢者から保険証を奪えば生命の危機に直結するということを政府が認めたものです。だとすれば、資格証明書の制度そのものを撤回するべきだし、こうした制度の元にある後期高齢者医療制度を廃止すべきです。

 通知案では、所得の少ない被保険者に資格証明書を交付すると必要な医療を受ける機会が損なわれるおそれが高いので、原則として交付しないとしています。これは高齢者だけの問題ではありません。現役世代の国民健康保険の資格証明書でも同様の対応をするのが当然です。

 憲法の生存権と国民皆保険の大原則を踏みにじる保険証取り上げは、きっぱりやめるべきです。



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