2009年4月18日(土)「しんぶん赤旗」
出生率1.34 低迷続く
少子化白書 “理由は晩婚”
政府は十七日の閣議で、二〇〇九年版少子化社会白書を決定しました。二〇〇七年の合計特殊出生率(一人の女性が一生の間に産む子どもの数)の1・34について、前年の1・32から微増しているものの、長期に人口が安定的に維持される水準(2・1前後)を大きく下回り、欧米諸国と比べても極めて低い水準だと指摘。「決して楽観できない状況」としました。
白書は、出生率低下の主な理由として、「晩婚化と晩産化」を挙げています。年齢別の未婚率は一貫して上昇し、〇五年では三十―三十四歳の男性47・1%、女性32%が未婚。平均初婚年齢も、〇七年で夫が三十・一歳(対前年比〇・一歳上昇)、妻が二十八・三歳(同〇・一歳上昇)と上昇傾向にあります。
出生したときの母親の平均年齢は、〇七年の場合、第一子が二十九・四歳、第二子が三十一・四歳、第三子が三十二・九歳。約三十年前の一九七五年と比べ、それぞれ三・七歳、三・四歳、二・六歳遅くなっています。白書は「高年齢になると、出産を控える傾向にあることから、晩婚化や晩産化は少子化の原因となる」としています。
解説
若者が自立できる対策を
なぜ、未婚化や晩婚化が進行しているのかについて、白書は踏み込んだ分析はしていません。しかし、コラムで「都内の二十五―三十四歳の未婚男性の約八割が年収四百万円以下」とのデータを紹介するなど、若い世代の経済的自立が困難な社会状況が背景にあることを、におわせています。
二〇〇八年十二月から〇九年一月にかけ実施された少子化施策利用者意向調査では、「若者が意欲を持って就業し、経済的にも自立できるような社会」が達成されているかについて、「あまりそう思わない」「そう思わない」が計71・5%と、二十五の質問項目中、最も評価が低い結果となりました。
若者が経済的に自立できず、将来を見通せない状況を放置していては、少子化傾向に歯止めをかけられないというのは、多くの国民の実感です。
しかも、現在の経済危機のもと、若い世代は「派遣切り」や内定取り消し、就職状況の急速な悪化など、ますます深刻な事態に直面しています。白書はこの現状についての一定の認識は示していますが、政府が打ち出している対策はまったく不十分です。
若者の現在と将来への不安に心を寄せた対策を早急に行わない限り、国の未来はないことを、政府は改めて肝に銘じるべきです。(坂井希)
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