2009年4月10日(金)「しんぶん赤旗」

北朝鮮ロケット発射

6カ国協議で努力を 外交問題米専門家

過剰対応は自制せよ 朝鮮半島研究者ら

日本の軍拡論議警戒


 米シンクタンク外交問題評議会は六日付で、ウェブサイトに、日本など東アジアが専門のシーラ・スミス上級研究員へのインタビューを掲載しています。スミス氏は北朝鮮によるロケット発射への今後の対応をめぐり、「六カ国協議を再活性化させるよう外交努力を継続する」ことを米国や日本、韓国の政府に求めています。

 スミス氏は六カ国協議で「核開発についての建設的な議論に北朝鮮を関与させる正しい道筋を見いだす」よう提案。「六カ国協議その他の場で、外交的な連合でいっそうの努力を払い、北朝鮮に対してわれわれの意図が外交にあること、対話以外に前進の道はないことを再確認させ続ける」と述べています。

 また北朝鮮のロケット発射が、日本における軍拡論議を促す「非常に現実的な危険がある」と指摘。過去二回の発射の際にはなかったミサイル防衛(MD)システムを今回は配備し、「政治指導者が迎撃する意思を表明し始めた」ことをあげ、「日本の危機管理をめぐる一大転機となっていることに注意を払うべきだ」と警告しています。

 米国や韓国、欧州の朝鮮半島研究者らでつくる「朝鮮半島問題を研究する学者同盟(ASCK)」は七日、北朝鮮のロケット発射に対し、過剰な対応を自制するよう六カ国協議参加国に求める声明を発表しました。

 声明には、米シカゴ大学のブルース・カミングス教授や米コロンビア大学のチャールズ・アームストロング教授、韓国・延世大学の文正仁(ムン・ジョンイン)教授ら専門家七十人が署名しました。

 ASCKは声明で、「北朝鮮のロケット発射とそれに対する過剰反応が、新たな危機を引き起こす恐れがある」と指摘。「この地域のすべての政府が冷静さを保ち、朝鮮半島が対立の道に逆戻りしないよう対話と交渉を再開する」よう求めました。

 声明は、六カ国協議の停滞と米朝正常化交渉の中断、南北関係の悪化に続く、北朝鮮のロケット発射によって、朝鮮半島が再び危機に向かっていると分析。日本の対応についても「現在の危機を、自国のミサイル防衛(MD)計画を進める好機にしようとしている」と指摘し、「ロケット発射への過剰対応は、北朝鮮の疑念をさらにあおり、交渉をさらに難しくする」と批判しました。



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