2009年4月5日(日)「しんぶん赤旗」
主張
経済・雇用危機
破壊許さぬ対策が不可欠
経済危機を背景にした雇用の破壊が一段と進み、経済・雇用危機が深刻化しています。
政府の発表でも、二月の「完全失業者」は二百九十九万人、仕事を求めている人に対する求人の割合は0・59倍にまで低下しました。「派遣」や「期間工」など非正規の労働者で仕事を奪われようとしているのは六月末までで十九万二千六十一人にものぼる見込みです。正社員の解雇も百人以上の計画を集計した不十分な統計でも一万二千五百二人に達しています。
三つの仕事同時並行で
かつてない急速な雇用破壊は、収入の道を閉ざし、労働者とその家族の生活を困難に直面させ、寮などで暮らす蓄えの少ない非正規の労働者にとっては路頭に迷わせる深刻な事態です。消費を落ち込ませ、地域経済を破壊し、経済危機との悪循環も生んでいます。
雇用破壊をやめさせ、働く機会を保障することは文字通り急務中の急務です。そのためには、不当な解雇を許さないこと、仕事を奪われた人への緊急の支援を強めること、さらには労働者がもの扱いで切り捨てられないよう、労働者派遣法などを抜本改正することが不可欠です。日本共産党は、こうした「三つの仕事に同時並行で取り組め」(志位和夫委員長)と主張し続けてきました。
政府や与党も、雇用保険の失業給付を改善するなど、「セーフティネット」(安全網)の改善に取り組んでいます。しかし、現にまだ余裕のある大企業までが非正規や正規の労働者を切り捨て、失業者を増やしているのをそのままにしていては、安定した雇用を実現することはできません。雇用破壊の元栓を締める対策が必要です。
大企業は輸出や生産が落ち込んだといっても、好況のときにためこんだ分厚い内部留保などでまだ余裕があります。にもかかわらず、政府の調査でも三月までに仕事を失った「派遣」労働者の約半分は本来許されない契約途中の解雇となっているなど、違法・無法な解雇を進めてきました。こうした不当な解雇をやめさせることが、まず第一に必要です。
同時に、各地で労働組合や市民団体が取り組んでいる「派遣村」などに解雇された非正規の労働者が殺到しているように、仕事を奪われた労働者への支援を強めることも一刻の猶予も許されません。仕事も住まいも奪われた労働者に食事や寝場所を提供する「シェルター」(避難所)を国や自治体の責任で準備すること、失業しても雇用保険の失業給付を受け取れるのは二割しかないといった状態を抜本的に改善すること、最後の“命綱”となる生活保護制度を改善すること、働きたい人が仕事につけるよう就労支援の対策がとられることなどが不可欠です。
「政治災害」繰り返さない
こうした対策と並んで、いま緊急に求められるのは、急激な雇用破壊は「政治災害」でもあることを政府や国会が受け止め、労働者派遣法を原則自由化前に戻すなど抜本改正に踏み出すことです。政府が国会に提出している派遣法の「改正」案は、登録型派遣を残すなど不十分なもので、今日の事態に合わないことが明白です。
「政治災害」に果たす政治の責任がきびしく問われています。抜本改正の世論と運動を盛り上げ、実現していくことが急務です。