2009年4月5日(日)「しんぶん赤旗」
「人工衛星」
北朝鮮、初日発射せず
政府が誤報、自治体大混乱
北朝鮮の朝鮮中央通信は四日午前、「人工衛星を間もなく打ち上げる」との声明を発表しましたが、国際機関に事前通告していた午後四時を過ぎても打ち上げは確認されていません。北朝鮮は同日、新たな声明を出しておらず、打ち上げなかった理由も不明です。
発射に備えて“厳戒態勢”を取っていた日本政府は同日正午すぎ、内閣官房の緊急情報ネットワーク(Em―Net)を通じて「さきほど、北朝鮮から飛(ひ)翔(しょう)体が発射されたもよう」との情報を流しましたが、約五分後に「誤探知だった」と訂正する大失態を演じました。
「人工衛星」が上空を通過するとみられる秋田県では、午前十一時前にも陸上自衛隊を通じた誤報が伝達されており、相次ぐ誤報で関係自治体は大混乱しました。
河村建夫官房長官は同日午後、記者会見で「皆さんにご心配をおかけしたことを率直におわびしたい」と誤報を陳謝しました。
浜田靖一防衛相は「防衛省・自衛隊の情報伝達の不手際だ」と述べた上で、「一刻も早く(情報を)国民に伝えないといけないという気持ちがあった」と釈明しました。
防衛省は、千葉県旭市にある航空警戒管制レーダー・FPS―5が何らかの航跡をとらえ、「ミサイル防衛」部隊を指揮する航空総隊司令部(東京都)が、その情報に加え、「米軍の早期警戒衛星からの情報があったと誤解した」(幹部)ことが誤報の原因との見方を示しました。
北朝鮮は国際機関に四―八日の午前十一時―午後四時の間に「人工衛星」を打ち上げると通告しており、五日以降に打ち上げる可能性もあります。
北朝鮮のロケット問題について
志位委員長が会見
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日本共産党の志位和夫委員長は四日、遊説先の長野市で記者会見し、記者団から北朝鮮政府が同日、朝鮮中央通信を通じて「人工衛星」の発射を予告したことについて問われ、「極めて遺憾だ」と述べるとともに、問題を外交的努力で解決することの重要性を表明しました。
志位氏は、発射予告について、「これまでわが党は、北朝鮮によるロケット発射の自制を強く求めてきた」「北朝鮮の行おうとしていることは、地域の平和と安定に緊張をもたらす恐れのあるものであり、極めて遺憾だ」と述べました。
そのうえで、実際の打ち上げはこれからであり、事態の推移を見極めて必要な態度表明を行うと述べるとともに、今の時点でもいえることとして、「どういう事態の展開になろうと、国際社会が、北朝鮮による核兵器開発を終わらせるという最も重要な目標を握って放さず、その達成のための外交努力を続けることが大切だ」と強調しました。
また志位氏は、記者団から、日本政府がこの日、北朝鮮が飛翔体を発射したと誤発表した問題について問われ、「お粗末の一言に尽きる」「国民に間違った情報を伝え、不安と不信を招いた責任は重大だ」と指摘しました。
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