2009年3月24日(火)「しんぶん赤旗」

国会の視点

「非正規切り」 数十万人

参院も大企業代表招致を


 三月末には製造業を中心に大規模な「非正規切り」が行われ、数十万人の労働者が住居も預金もないまま、放り出されようとしているなか、国会が雇用を守り、労働者の生活を守る真剣な取り組みが求められています。

 日本共産党の仁比聡平議員は、十二日の参院予算委員会で、日本経団連の御手洗冨士夫会長をはじめ、大企業の代表を参考人として予算委員会に招致し、集中審議を行うことを要求。溝手顕正予算委員長(自民党)も「理事会で協議する」と約束しました。

 ところが、参院では大企業の代表の招致は具体化しないまま、与党は二十六日にも参院予算委員会で二〇〇九年度予算案を採決することを求め、参院で第一党の民主党はこれに同調する流れです。民主党の政調メンバーの一人は、「西松建設」からの違法献金問題で小沢一郎代表に批判が集中する中、「国民には申し訳ないが国会は消化試合。今は動けない、たたかえない」などとのべます。

国政調査権を

 大規模な「非正規切り」は、米国発の金融危機に端を発する深刻な景気後退と労働者派遣法の相次ぐ改悪による政治災害です。巨額の内部留保をため込む大企業には社会的責任を果たすことが求められ、雇用の維持と景気の下支えをはかるための対策をとることが政治の責任として厳しく問われています。国会には、政府の責任をただすとともに、国政調査権(憲法六二条)を行使して実態を調べ、対策を明確にする独自の責任があります。

衆院審議では

 衆院の予算審議では、与野党合意で、「非正規切り」を主導する日本自動車工業会の川口均労務委員長(日産自動車)と「反貧困ネットワーク」代表で「年越し派遣村」名誉村長の宇都宮健児弁護士が参考人招致され、質疑が行われました(二月二十四日)。川口氏は、「経営環境の大幅な変化」を理由に「非正規切り」を合理化する一方、各社の人員削減計画や「偽装請負」などの違法行為の実態さえつかんでいない無責任な姿勢をあらわにしました。

 宇都宮氏は、巨額の内部留保をため込んだ大企業の責任を告発し、「国会に(日本経団連の)御手洗冨士夫会長、トヨタの経営者自身を呼んでもらいたい」と求めました。国会に対し、直接、課題が突きつけられたのです。

 参院では中央公聴会に「年越し派遣村」村長の湯浅誠氏が呼ばれましたが、財界代表は一人もきていません。

 野党が多数を占める参院でこそ、こうした“宿題”も含めさらに突っ込んだ審議が求められるのは当然です。(中祖寅一)



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