2009年3月4日(水)「しんぶん赤旗」
受診遅れ31人死亡
保険料・医療費払えず
民医連調査
高い保険料や医療費が払えず病気になっても受診が遅れ死亡に至った人が昨年、全日本民主医療機関連合会(全日本民医連、鈴木篤会長)の病院・診療所だけで三十一人にものぼっていることが同連合会の「二〇〇八年国民健康保険死亡事例調査」で三日、分かりました。
今回は勤労世帯で雇用の悪化によって失職し国保の手続きができずに無保険状態となっている人が多くみられる、と雇用状況の悪化の影響を指摘しています。
全日本民医連には千七百を超える病院、診療所などが加盟しています。死亡例は十六都道府県連から報告がありました。
保険料の滞納で国保保険証が取り上げられ、窓口でいったん全額医療費を払わなければならない資格証明書を発行された人の死亡例は七人、無保険の人が十一人、短期保険証を発行された人が十三人でした。
職業別では無職の人が一番多く十一人、次いで非正規雇用の人が八人となっています。今回は正規雇用の該当者はありませんでした。
四十九歳のパート就労の女性は、高血圧と診断され「治療しないと雇用は無理」と言われ失職。無保険で治療もできないまま、その後くも膜下出血を発症。救急搬送され、緊急手術をしましたが、意識が戻らないまま死亡しました。
記者会見で調査結果を発表した湯浅健夫・全日本民医連事務局次長は、「今回の死亡事例は氷山の一角です。国は資格証明書、短期保険証の発行を直ちにやめ、高すぎる保険料の引き下げなど対策をとり、受診遅れによる死亡を生まないようにすべきだ」と話しました。
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