2009年3月3日(火)「しんぶん赤旗」
ハローワーク職員765人減
2000年度比 求職者あふれる中
将来1万1000人削減へ 労働局統廃合の動きも
雇用破壊が急激に進んでいるのに、肝心の労働行政が「行革」で大きく弱体化しています。公共職業安定所・ハローワークの二〇〇八年度の職員は、二〇〇〇年度に比べ、全国で七百六十五人も削減。安定所の廃止や縮小も行われました。二〇〇〇年度に創設された、安定所を管轄する労働局(厚生労働省の出先機関)を廃止し、地方厚生局に統合する動きまであります。(海老名広信)
公務員は行政改革で削減され続けていますが、安定所の定員削減に拍車をかけたのが、〇六年度からの国家公務員純減計画。安定所は計画の重点事項とされ、〇六年度以降五年間で七百三十八人減らされます。
ますます遠く
昨年十二月の地方分権改革推進委員会第二次勧告の試算は、ハローワークで将来的に一万一千人を減らすとしています。
同勧告は、都道府県にある労働局を地方厚生局と統合して県より広域のブロック機関にする方針です。労働局は県都にしかありません。派遣契約の問題は労働局でしか扱われず、派遣切りされた労働者にとっていまでも不便なのに、広域化はますます遠い存在になります。
職員でつくる全労働省労働組合(全労働)は「労働局・安定所は国の出先機関といっても国民と接する窓口です。職員削減やブロック化は、労働者の権利を大幅に後退させるものだ」と批判します。
「職員が毎年、削減される。何とかしてほしい」。長野県のあるハローワーク所長は山口のりひさ衆院北陸信越比例候補と懇談した際、こう訴えました。同ハローワークは昨年十二月の新規求職者が前年比四割増でした。
どこのハローワークも求職者であふれます。派遣切りで失業した人にくわえ、「解雇予告された」在職中の人や、「夫の雇用が不安」という専業主婦の姿も目立ちます。
相談は深刻化
住宅の確保や融資が必要な人、言葉の通じない外国人…。相談内容は深刻化し、時間がかかります。窓口の終了時間が過ぎても相談を続ける安定所もあります。職員の負担は重く、忙しい。
少ない人員でもサービスは維持しようと、職員は懸命です。待ち時間が長いうえに求人が無く怒って紹介相談も受けず帰ろうとする求職者を説得して引きとめることも。ある安定所では、紹介先の企業に必ず求職者の長所を売り込みます。「すぐに就職口がみつからなくても、不安を少しでも取り除いてあげたい」と必死です。
求職者も職員をねぎらいます。「求人が少なくてごめんなさいっていわれました。ハローワークが悪いわけじゃないのに。対応は優しく親切ですよね」(ハローワーク岡谷で二十一歳の女性)
ハローワークの廃止や出張所化も問題です。出張所化は管理や企画部門を他に集約して窓口業務は維持していますが、所長が残った管理業務をしながら窓口に立たないと仕事は回りません。
全労働は「雇用情勢が急激に悪化するいま、労働行政職員の定員削減は凍結し、臨時緊急の増員で働く人々の安心を実現するよう政府に強く求めます」と主張します。