2009年2月22日(日)「しんぶん赤旗」

保育が“カネ次第”なんて

改悪反対 広がる

厚労省、24日に報告決定狙う


 保育の仕組みを根本から変え、「直接契約」方式を導入する制度改悪に対し、保護者や保育事業者から「保育を“カネ次第”にしてはならない」などの反対の声が日増しに強まっています。厚生労働省は二十四日にも第一次報告の最終決定をする構えで、緊迫した局面を迎えています。(坂井希)


 厚労省が昨年十二月九日の社会保障審議会少子化対策特別部会に示した「新たな保育の仕組み」案(表参照)は、市町村が保育を住民に保障する仕組み(現物給付)から、保育サービスを市場で買うための補助金を利用者に配る仕組み(現金給付)に転換するものです。親は自分で保育所を探し、直接契約を結ばなければなりません。都道府県の認可がなくても一定の基準を満たす事業者は参入を認められます。

 厚労省案には、地方議会などから「保育を必要とする子どもが所得などで排除されないか」「保育の質の低下を招かないか」「保育に格差が持ち込まれないか」など、多くの懸念が示されています。三重では、県議会と二十九市町中二十五市町議会が直接契約を導入しないことなどを求める意見書を可決。各地で現行制度の堅持・拡充を求める意見書が広がっています。

 四児の母で、二人の子が私立認可園に通う母親(38)=福岡市=は、「うちの園では母親はほとんどパートか派遣です。今は親の働き方にかかわらず、子どもの日中の生活が保育園で保障されていますが、制度が変われば『パートの子は週四日だけ』となるかもしれない」と不安を語ります。この母親の園では、現行制度の堅持・拡充を求める署名が七千人分集まりました。福岡では、新制度案に反対する保護者アピールも取り組まれています。

 当初、厚労省は昨年中に報告案を決定しようとしていましたが、保育現場の意見を聞くために設置していた保育事業者検討会で懸念や反対の声が噴出。年内どころか、一月中の決定も見送りました。今月十六日に開いた保育事業者検討会でも、反対・修正意見が相次ぐ事態となっています。

 同省は二十四日に開く少子化対策特別部会で最終決定したい考えです。保育を「福祉」ではなく「商売の対象」にしてしまうのか―正念場を迎えています。

24日に抗議集会

 全国保育団体連絡会は、二十四日十二時三十分から、三田共用会議所前(東京都港区)で、緊急抗議集会を開きます。

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