2009年2月6日(金)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

輸出大企業優先の構造が問題

首相「偏ってる」 経財相「嘆かわしい」

衆院予算委 吉井議員追及


 「輸出大企業は内部留保を大きく蓄えたが、派遣労働者や下請け中小企業は大変な事態になった」

 五日の衆院予算委員会で日本共産党の吉井英勝議員は、一九九〇年代以降、輸出大企業だけが莫大(ばくだい)な利益を上げた日本経済の構造そのものについて、麻生太郎首相の認識をただしました。

内需冷やし景気弱体化

 吉井氏は、九〇年代後半からトヨタなど大企業が、労働者には低賃金・過密労働、中小企業には単価切り下げを押し付けながら、利益を上げてきた経緯を告発。「当時からこのやり方を続けると内需を冷やし、景気を弱くするといってきた」と政府に反省を迫りました。

 吉井 大企業は、内部留保も株主への配当も役員報酬も伸ばした。しかし派遣労働者や下請け企業は大変な事態になった。内需で景気を支えて、経済を安定的にしていく点で問題ではないか。

 与謝野馨経済財政担当相 「会社は株主のものであり、配当金さえ増やせばいい」という荒っぽい考え方がはやったのは嘆かわしいことだった。

 首相 株主配当すればいいということで会社が成り立つはずがない。最近は目先の利益に偏っているという反省がなされている。

 与謝野、麻生両氏は一定の反省をせざるを得ませんでした。吉井氏は「政治がこの間、こういう事態を正さなかったことが問題だ」と批判しました。

 中小企業への対策を求めた吉井氏に対し、二階俊博経済産業相は、中小企業の相談業務を行う公的機関と位置づけている「駆け込み寺」があることを強調しました。

下請け実態本格調査を

 吉井氏は、トヨタからコストダウンを求められた中小企業経営者が相談の電話をしたら、冷たい対応をされた実例を提示。トヨタの下請けピラミッド構造になっていること(図)を示しながら、「国はピラミッドの上ばかりでなく、孫・ひ孫下請けの実態をつかむ調査を本格的にすべきだ」と迫りました。

 吉井氏はまた、「人は宝」として雇用維持にがんばっている中小企業主が、やむなく労働者を一時的に休業させる時に、その間の手当や賃金の一部を助成する「中小企業雇用調整助成金」制度について、「一年の期限を延長してほしい」という声を紹介。「少なくとも三年間は給与保障できるようにするのが当然だ」とただしました。

 また、現在は支給まで六カ月もかかるケースがあるため、迅速な事務ができる体制をつくるよう求めました。

 舛添要一厚生労働相は「一年間しか支給できないのを撤廃し、連続利用可能にした。また、労働局やハローワークの体制整備、支給申請様式の簡素化をして希望に応えていく」と述べました。

図

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