2009年2月1日(日)「しんぶん赤旗」
個人処罰 安全に逆行
ニアミス事故でシンポ
東京
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日本航空ニアミス(急接近)事故に関する航空安全シンポジウムが三十日、東京都内で開かれました。百六十八人が参加し、「システム性事故における個人責任追及と社会の利益を考える」をテーマに議論しました。主催は航空労組連絡会、全運輸など四団体です。
事故は二〇〇一年一月に静岡・焼津付近上空で日本航空907便と958便がニアミスしたもの。便名を間違えて指示を出した管制官二人が業務上過失致傷罪で起訴され、一審は無罪でしたが二審で有罪とされ、現在、最高裁で争っています。
事故と裁判の経過について報告した米倉勉弁護士は、二審判決について「システム運用上の不備であるにもかかわらず『便名言い間違い』という『エラー』を危険な行為として処罰しようとした」と批判。「この処罰で事故防止は実現できず、航空の安全に逆行する」とのべました。
IFATCA(国際航空管制官協会連盟)、IFALPA(国際定期航空操縦士協会連合会)の代表が講演し、「個人責任を追及する処罰行為は、決して航空の安全には寄与しない」と指摘しました。
東海大学の池田良彦教授は、現在の刑法が一九〇八年に制定されたもので航空事故などのシステム性事故を想定していないとのべ、「組織的な要因で発生する事故に対し、個人を対象とする既存の刑事責任のあり方は問題だ」と語りました。
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