2008年12月23日(火)「しんぶん赤旗」

後期医療制度

不服請求 1万超す

人間性喪失した発想 赤紙思い出す


 今年四月から実施された後期高齢者医療制度に対して不服審査請求をした高齢者が全国で一万百九十九人に達したことが、二十二日までに厚生労働省の集計でわかりました。日本共産党の小池晃参院議員の求めに対して同省が提出したものです。


見直しでなく廃止しかない

 同省がまとめたのは、十二月一日現在の人数。九月五日時点と比べて二千百五十九人増えています。政府・与党は「制度の見直し」を繰り返していますが、七十五歳以上を年齢で差別する制度への怒りは、小手先の手直しではおさまらないことを示しています。

 不服審査請求をした人が多いのは、東京都の千三百十二人、北海道の八百三十五人、大阪府の八百三十一人、福岡県の七百八十九人、神奈川県の六百六十五人、埼玉県の六百六十一人などです。

 不服審査請求では、口頭で意見を述べる機会を設けることができるため、当事者である高齢者から各地で切実な訴えが出されています。

 京都府の審査会では「東京にいる息子の扶養だったが、いきなり家族から引きはがされて後期高齢者医療制度に強制加入させられた。戦時中、兄と叔父に届いた赤紙を思い出した」との発言がありました。

 石川県では、不服審査請求での陳述を同県社会保障推進協議会が冊子にまとめています。そこでは、「(国保に残った妻の国保税と合わせ、保険料が)昨年から二万七千五百四十七円も増額になる…。(『保険料が安くなる』など)政府の説明はごまかしが多く、まともな政治と思われません」「『高齢者はいずれ死を迎える、お金も手間もかけなくてよい』という、人間性を喪失した制度になっておる、発想がそうであるというふうに私は思います」などの訴えが満載されています。

 宮城県では、「届けられた白い保険証が死出立(しにいでたち)の白装束にみえた」との声まで上がっています。


 不服審査請求 「高齢者の医療の確保に関する法律」の第一二八条は、後期高齢者医療制度で広域連合または区市町村が行った給付や保険料などに関する行政処分に納得できない場合、各都道府県の後期高齢者医療審査会に審査を請求できると定めています。全国の高齢者が保険料などについて不服審査請求を行い、意見陳述のなかで制度そのものの廃止を訴えています。



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