2008年12月16日(火)「しんぶん赤旗」

後期高齢者医療 廃止しかない

各地で宣伝・集会


写真

(写真)後期高齢者医療制度廃止を求める東京大集会で「いのちは平等です」とアピールする参加者=14日、東京・日比谷野外音楽堂

 七十五歳以上を対象にした後期高齢者医療制度の保険料の年金からの天引きが十五日強行されました。六十五歳―七十四歳の人の一部も国民健康保険料が天引きされました。合計約八百五十万人にのぼると見られます。

 保険料の天引きは四月の制度発足以降、五回目です。今回は、この日振り込まれた十月、十一月の年金から、十二月と来年一月の二カ月分の保険料が天引きされました。

 深刻な不況にもかかわらず、高齢者の生活の支えである年金から高い保険料を有無をいわさず差し引くやり方は、制度の非情さを示すものです。

 制度の廃止を求める国民世論が広がるなか、二カ月に一回の天引きを続行する政府に対して、全国各地で抗議の行動が取り組まれました。

凍える手でペン

札幌

 「命を年齢で差別する医療制度はただちに廃止せよ」。十五日、北海道では三十カ所以上で宣伝・署名をくり広げました。

 師走の札幌市東区。防寒着に身を包み、足が悪い人は手押し車に腰をかけて懸命に署名を呼びかける年金生活者ら。白い息を吐きながら、「頑張ってください」と若い女性が応じ、画板をはさんで対話が弾みました。

 一面雪に覆われた東区役所前。

 つえをついて、「頑張って」と近づいてきた女性(65)は「私たち障害者や高齢者は肩を寄せあい、助け合って暮らしています。ぎりぎりのところで生きている国民のことを考えない政治は本当に許せません」と凍える手でペンをとりました。

 西区の地下鉄琴似駅前では四十分で百八十四人が署名。署名に応じた女性(76)は「寒さにもこんなひどい制度に負けていられません。頑張ってください」と話しました。

立場超え力合わす

東京

 後期高齢者医療制度の廃止を求める東京連絡会は十四日、東京都千代田区の日比谷野外音楽堂で12・14東京集会を開き、冷たい雨のなか約五千人(主催者発表)が参加し、銀座をパレードしました。東京社保協、東京民医連、年金者組合東京都本部、東京保険医協会など三十五団体の賛同で実施したもの。

 同連絡会の吉田万三代表は、三月の井の頭公園での集会に一万二千人が集まるなど運動が各地で広がっていると報告しました。

 日本共産党の小池晃参院議員、笠井亮衆院議員、吉田信夫都議団幹事長ほか、民主、社民、新党日本の国会議員が出席。あいさつで小池参院議員は「衆院に送られた廃止法案を成立させるため力を合わせましょう。二兆円の給付金を出すお金があれば、二千二百億円の社会保障の削減をやめ、後期高齢者医療制度こそ廃止すべきです」と、立場を超え廃止へ力をあわせていく決意をのべました。

 国分寺市から参加した女性(79)は「保険料を滞納すれば保険証取り上げで医者にもかかれなくなる。廃止へみんなで声をあげていかなければ」と話していました。

長生きは国賊か

民医連

 全日本民主医療機関連合会は十五日、東京・御茶ノ水駅前で宣伝し、制度の廃止を求める署名と麻生首相への一言メッセージを集めました。

 妻(74)の入院の付き添いで通りかかった千葉県松戸市の男性(79)は麻生首相へのメッセージに「長生き者は国賊ですか 国賊扱いを思い出します」と書きました。

 「制度が差別そのもの。戦前は政府に文句をいったものが国賊扱いされ、いまは長生きするものが国賊扱いになりかねない。本当に腹が立っている」と話しました。

 長瀬文夫事務局長らが「保険料を払えていない二十数万人の高齢者が四月以降無保険になる」と訴え、一時間で四十九人分の署名が寄せられました。

無保険者出すな

福岡

 福岡県社会保障推進協議会は十五日、後期高齢者医療制度廃止にむけて、県内の福岡、北九州、久留米、大牟田、行橋、田川の七市などで「怒りの抗議行動」をくり広げました。

 福岡県内の保険料未納者は、県下三十二自治体で約一万五千人(福岡県社保協調べ)にも及び、こうした後期高齢者はこのままでは来年七月から無保険状態になりかねません。

 福岡市一の繁華街・天神の中央公園で開かれた「怒りの抗議集会」はお年寄りら百五十人が集まりました。これには、日本共産党の小林とき子衆院九州・沖縄比例予定候補が出席し、激励のあいさつをしました。

 集会では「後期高齢者医療制度は絶対に廃止させましょう」とのアピールを採択。また、自民・公明両党の九州出身衆院議員に対し、「後期高齢者医療制度廃止法案」可決の要請書を、この日からファクスします。



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