2008年12月1日(月)「しんぶん赤旗」
公的保育制度を守れ
研究者らシンポ 最低基準の改善を
「乳幼児の公的施設における最低基準をどう捉(とら)えればよいかをめぐって」と題するシンポジウムが三十日、都内で開かれました。保育総合研究所と日本保育学会の共催で、約四十人が参加しました。
厚生労働省の社会保障審議会少子化対策特別部会委員として、保育制度改変論議に参加している吉田正幸氏(有限会社「遊育」代表取締役)がパネリストの一人として発言。「国の最低基準は必要」と表明するとともに「制度改革についてはもう少し丁寧な議論がいる」として、部会での結論が、当初予定の年内から来年三月までずれ込みそうだとの見通しを示しました。
白梅学園大の民秋言教授は、乳児の保育室面積を現行基準の一人当たり3・3平方メートルと東京都認証保育所で採用している2・5平方メートルとで比べると、前者の方が子どもの発話や活動量が多いことなどが示された研究成果を報告。「現行より低い基準を採用することは子どもにとってマイナス」と述べました。
保育環境・空間に関する厚労省の委託調査研究に参加している藤森平司氏(新宿せいが保育園園長)は、保育所保育指針に示された水準で保育を実践するには、現行基準以上に充実した施設設備が求められる可能性を示唆。帝京大の村山祐一教授は「直接契約制度の導入で市町村の保育実施責任がなくなれば、保育の平等が崩れ、最低基準も形骸(けいがい)化する」と指摘し、公的保育制度の堅持と最低基準の改善の必要性を強調しました。