2008年11月29日(土)「しんぶん赤旗」

衆院本会議

臨時国会の会期延長に対する

佐々木議員の反対討論


 日本共産党の佐々木憲昭議員が二十八日の衆院本会議で行った会期延長に対する反対討論は次の通りです。


 私は、日本共産党を代表し、臨時国会の会期を二十五日間延長することに反対の討論を行います。

 そもそも、この臨時国会は、安倍総理、福田総理と二代つづいて政権を投げ出すという前代未聞の事態を受けて開かれました。

 やるべきは、貧困と格差を広げた「構造改革」路線をどうするのか、アメリカいいなりの自衛隊海外派兵をつづけるのか、といった国政の根本問題を徹底的に審議したうえで、すみやかに解散し、国民の審判をあおぐことだったのであります。

 ところが、麻生総理と自民党、公明党は、冒頭解散をもくろみながら、世論調査で内閣支持率が芳しくないと見るや、一転して、解散を先送りし、「政局より景気」と言いはじめたのであります。一方、民主党は、解散を促すため補正予算も新テロ法も、成立を容認するという方針をとりました。このような政局運営にも、国民はきびしい批判の目をむけたのであります。

 会期末をむかえ、麻生総理と政府・与党が二十五日間の会期延長でやろうとしているのは、結局、新テロ特措法と金融機能強化法の二つの法案を、六十日間の「みなし否決」規定をつかい衆議院の再議決で強引に成立させることであります。

 アメリカが対テロ報復戦争を開始して七年、情勢は年々悪化し、いまや「戦争でテロはなくせない」ことは明白であります。アフガニスタンでも、政治解決が真剣に模索されています。このなかで日本が、憲法違反の自衛隊海外派兵に固執するのは、あまりにも異常であります。

 田母神問題は、侵略戦争を美化する人物を自衛隊のトップにつけてきた責任の問題にとどまりません。田母神氏の発案で幹部自衛官教育として侵略戦争美化の国家観歴史観教育が、五年前から行われてきていたという恐るべき実態であります。これが違憲の海外派兵の拡大と深くかかわっていることを、深刻にうけとめるべきであります。

 重大なのは、麻生内閣が、未曽有(みぞう)の世界金融危機のもとで「生活対策を優先」といいながら、国民が安心できる具体策を何もとっていないことであります。

 参議院で審議中の金融機能強化法案は、世界的な金融危機のもとで投機的な資金運用で自己資本を棄損した金融機関に、公的資金を投入し応援するものにほかなりません。

 麻生総理は、十月三十日に「第二次経済対策」を発表しスピードをもって実行すると強調しました。しかし、その内容は、三年後の消費税増税とセットにした二兆円の「給付金」を柱とするもので、およそ景気対策といえるものではありません。しかも総理自らがやると言った「給付金」や「補正予算」をめぐって政権・与党がバラバラで調整もできないまま、迷走につぐ迷走をつづけ、提案さえできないという醜態をさらしているのであります。

 金融危機と景気悪化から国民生活をまもるため、政府が緊急にやるべきことは、いっせいに始まっている大企業の「派遣切り」にストップをかけ、雇用を守ることであります。大企業が、非正規雇用の首切りを競いあい、正社員に退職強要を迫るなどという事態を野放しにすることは許されません。下請け中小企業への圧迫と切り捨てをやめさせること、銀行の貸し渋り・貸しはがしをやめさせることも急務であります。

 麻生総理は、雇用対策にはまったく後ろ向きで、昨日ようやく検討を指示したにすぎません。しかも麻生総理は、野党四党が共同で提出した「後期高齢者医療制度廃止法案」に背をむける一方、「医者は社会的常識が欠落した人が多い」と発言し、さらには「たらたら飲んで食べて何もしない人の分のカネを何で私が払うんだ」という暴言に至っては、何をかいわんやであります。

 いまや多くの国民が、麻生総理と自公政権の政権担当能力そのものに大いなる疑問をなげかけています。景気の悪化で苦悩する国民そっちのけの麻生政治にたいする怒りと怨嗟(えんさ)の声が、満ち満ちているのであります。総理が今やるべきは、衆議院を解散し、主権者国民の審判をあおぐことであります。

 このことを強調し、会期延長に反対する討論を終わります。


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