2008年11月25日(火)「しんぶん赤旗」
六カ国協議再開へ
北朝鮮申告の検証焦点に
合意文書化が課題
十二月八日に開催されることになった北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議は、七月の首席代表会合から五カ月ぶりとなります。北朝鮮が申告した核計画の検証方法について、六カ国協議の合意文書にできるかどうかが焦点になります。(中村圭吾)
七月の首席代表会合では、検証方法について、▽核施設への立ち入り調査▽追加文書の提出▽核技術者らへの面接・聴取―の三原則で一致。しかし米国が八月、北朝鮮に対するテロ支援国指定の解除を延期したことから、北朝鮮は核施設無能力化の作業を中断し、施設再稼働に向けた動きを本格化させました。
十月、六カ国協議で米首席代表を務めるヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)が訪朝、検証方法についての米朝合意が成立し、テロ支援国指定も解除。米朝合意を六カ国の合意として確認するための六カ国協議の開催が目指されていました。
ライス国務長官は二十三日、記者団に対し、「交渉過程で出た説明や約束を六カ国協議の文書で正式化する必要がある」と指摘。「北朝鮮は予測可能な国ではない」とも述べました。
検証方法をめぐっては、北朝鮮が十二日に発表した外務省スポークスマン談話で、合意文書に、「サンプル採取」の文言を含めることに反対すると表明。「サンプル採取」を北朝鮮が受け入れたとする米側の説明との食い違いも表面化しました。
ペルーでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)に参加した日米中韓四カ国首脳は、検証方法の文書化をめざす方針を確認しました。中国の胡錦濤国家主席は二十三日、ロシアのメドベージェフ大統領と会談し、協力を強めることで一致。胡主席は、「(非核化)第二段階の措置を全面的に実施し、新段階に進むべきだ」とも語りました。
日朝交渉も
六カ国協議の再開で、進展に乏しい日朝交渉にも新たな機運がもたらされることになります。
六カ国協議は二〇〇五年の共同声明で、日朝が「平壌宣言」(〇二年)に基づき、拉致・核・ミサイルと過去の植民地支配という諸懸案を包括的に解決し、国交正常化することを確認。日朝二国間交渉を進める場としての役割も果たしてきました。
北朝鮮が六カ国協議の合意に基づき、核計画を申告した六月、北京で日朝実務者協議が九カ月ぶりに再開。北朝鮮が拉致問題の解決に向け、「生存者を発見し帰国させるため」の再調査を実施することを約束しました。
八月には、北朝鮮が再調査のために「権限が与えられた調査委員会」を設置することでも合意しました。
北朝鮮はその後、福田政権の退陣を受けて再調査実施を延期。日本が拉致問題を理由に、六カ国協議で合意したエネルギー支援に参加しないことを非難する姿勢をとってきました。
日朝交渉の糸口が見えない中、北朝鮮の朴徳勲(パク・トクフン)国連次席大使は二十一日、国連総会第三委員会で、日本人拉致被害者の再調査について、「再調査についても行う用意がある」と表明しました。六カ国協議の場を利用した日朝交渉で、両国政府が事態を打開し、再調査の実施にどうつなげていくか。その行方が注目されます。
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