2008年10月3日(金)「しんぶん赤旗」
海外視察報告書
自公も盗作の疑惑
党都議団調査 「抜本的見直しを」
東京都議会の自民・公明両党が二〇〇六年に総額千二百七十五万円の税金を使って行ったアメリカ視察の報告書で、二人の研究者の論文から盗作を行った疑惑が二日、日本共産党都議団の調査で明らかになりました。
この視察は、〇六年二月に自民党の田代博嗣(団長)、公明党の友利春久(副団長)両都議ら九人が十日間かけてアメリカのシカゴ、ニューオーリンズ、ワシントン、ニューヨークの四市を訪れたもの。総額千二百七十五万円の税金を使いました。
調査報告書(A4判全五十二ページ)の四十五―四十八ページに記載した、ニューヨーク市の「業務改善地区」についての文章は、日本都市計画学会発行の『都市計画』二百三十四号に掲載された樋口明彦氏(九州大学大学院工学研究院)の論文と酷似。同じ報告書の四十九―五十二ページにある同市のダウンタウン地区の記述も、『都市計画』二百四十三号(〇三年六月)に掲載の青山公三氏(京都府立大学教授)の論文と、文章も中見出しもほぼ同じでした。
日本共産党都議団が樋口、青山両氏と日本都市計画学会に問い合わせたところ、樋口氏は自公両党から連絡は一切なく同意もしていない、青山氏はこのように使うという連絡はなかったと回答。論文の著作権を持つ都市計画学会にも連絡はありませんでした。
日本共産党都議団の吉田信夫幹事長は都庁内で開いた記者会見で、「わが党が指摘した文章は他人の論文をほぼ丸写しにしたもので、調査団独自の見解は全くない。税金を使っての視察の報告書でこのような盗作を行っただけに、責任はより重く、都民を裏切るものだ」と批判し、海外視察を中止し全面的に再検討するよう求めました。
東京都議の海外視察 多額の税金を使った自民、民主、公明など各党の海外視察は、都民の批判と日本共産党の追及を受け一九九七―二〇〇一年に自粛したものの、〇一年度に再開。〇五年以降は一人平均百八十九万円の税金をかけ視察を行い、今年九月には民主党都議によるブラジル視察(〇六年)の報告書で他人の論文から盗用していた事実が発覚しました。日本共産党は豪華海外視察の抜本見直しを要求し、九三年以降は参加していません。