2008年8月27日(水)「しんぶん赤旗」

核無能力化を中断

声明発表 テロ支援国解除を要求

北朝鮮


 北朝鮮外務省スポークスマンは二十六日、米国が北朝鮮をテロ支援国から解除する措置を延期していることを合意違反だとして、核施設の無能力化を中断すると表明しました。再稼働に向けた施設の原状回復も考慮するとしています。

 声明は、テロ支援国指定解除は昨年十月三日の六カ国協議の合意事項だと指摘。「米国が合意事項を破った状況で、われわれはやむを得ず『行動対行動』の原則に沿って対応措置をとらざるを得なくなった」と主張しました。

 米国は、北朝鮮が提出した核申告の検証手続きで合意ができていないことを理由に、テロ支援国の指定解除を延期しています。これに対して声明は、「六カ国や米朝間のいかなる合意にも、われわれの核申告書に対する検証問題を(テロ支援国)指定解除の条件と規定した条項はない」としています。

 無能力化中断の決定は、「十四日に効力を発し、すでに関係方面に通知された」としています。

 声明は「わが当該機関の強い要求に従い、寧辺核施設を直ちに原状に復旧する措置を考慮することになるだろう」と強調しました。


解説

検証めぐり米朝対立

 北朝鮮による核無能力化の措置は、今年十月末までの完了が目指されていました。

 北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議は、七月に首席代表会合を開催。朝鮮半島非核化「第二段階」の完了を目指し、北朝鮮の核施設の無能力化と、他の五カ国による経済・エネルギー支援を十月末までに履行することで合意していました。

 しかし、北朝鮮が提出した核申告の検証手続きをめぐる米朝の対立が埋まらず、米国がテロ支援国指定の解除を見送ったことを受けて、北朝鮮は態度を硬化させました。

 核無能力化の措置は、二〇〇七年十月の六カ国協議の合意に基づき、始まりました。非核化「第二段階」で実施される措置の一つで、寧辺の五千キロワット実験炉、再処理工場、核燃料棒製造施設が無能力化の対象です。

 当初の合意では、〇七年末までに無能力化を完了することになっていましたが、北朝鮮が、他の五カ国による経済・エネルギー支援の遅れなどを批判。無能力化作業のスピードを遅らせると繰り返し主張していました。

 米当局者によると、無能力化は、十一ある工程のうち第九段階までが完了。原子炉から抜き取った使用済み燃料棒の搬出、原子炉制御棒の稼働装置の除去などの工程が残っているとされます。

 今年六月の北朝鮮による核申告の提出を受けて、米国は、北朝鮮に対するテロ支援国指定の解除方針を米議会に通告。北朝鮮は、当初の合意になかった核施設付属の冷却塔の爆破を実施しました。(中村圭吾)



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