2008年7月20日(日)「しんぶん赤旗」
きょうからASEAN外相会議
東アジアの平和秩序推進
北朝鮮はTAC調印予定
【シンガポール=井上歩】東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議やASEAN地域フォーラム(ARF)などの一連の会議が二十日の外相夕食会から始まります。二〇一五年のASEAN共同体構築をはじめ、北朝鮮を含めた東アジア全体の平和秩序に向けた協議が行われます。
ASEAN外相会議では、法的機構への転換を遂げるため、ASEAN憲章の批准を促し、年内発効を目指す強い意思を示します。域内の人権問題を扱う「人権機構」や、紛争解決メカニズムについて年内に原案を提示できるよう調整します。「政治・安全保障共同体」の青写真づくりも進めます。
外相会議共同声明案によると、食料と原油の価格高騰問題について、「国民生活と経済開発の脅威」と危機感を表明。食料価格に関して、国際社会が市場機能の効率的な発揮と、長期的な農業問題の解決に取り組むよう求めます。
北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議では、「約束を履行する参加国の意思と、さらなる進展に向けた新たな機会がみられる」と北朝鮮の核計画申告など協議の進展を歓迎。ASEANとして協議を全面支持し、対話強化に期待を表明します。
二十四日に開かれるARFにはライス米国務長官、北朝鮮の朴宜春(パク・ウィチュン)外相ら二十七カ国・地域の外相らが参加。北朝鮮の核問題についても話し合われる見通しです。
これに先立ち二十三日には、六カ国協議参加国の外相が非公式に初めての会合を持つ予定です。
北朝鮮は今回、戦争放棄を定めた東南アジア友好協力条約(TAC)に調印する予定。ASEANは「北朝鮮が地域の平和と安全保障に関与しようという強いシグナル」(外相声明案)と歓迎します。TAC加入で北朝鮮は東アジア首脳会議に参加する資格を得ます。
二十二日にはASEANプラス日中韓の外相会議が開かれ、協力強化をはかります。ASEANと、カナダ、欧州連合(EU)、インドなど対話国との会議も開かれます。東アジア首脳会議参加国の非公式協議も予定。ASEANとARFを舞台にした二国間外交も行われます。
東南アジア諸国連合(ASEAN) 一九六七年、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピンの五カ国が「豊かで平和な共同体がつくられる基盤を強化する」(結成宣言)目的で結成。憲章は、外国軍基地が域内諸国の民族の独立と自由をくつがえしてはならないと宣言。加盟国は現在、ブルネイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーを加え十カ国。
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