2008年7月16日(水)「しんぶん赤旗」
JR採用差別事件
「解決へ話し合いを」
東京高裁裁判長提案 原告側受け入れ方針
国鉄分割民営化に反対した国労や全動労などの組合員がJRに不採用、解雇された差別事件で、国労組合員らが鉄道建設・運輸施設整備支援機構(旧国鉄清算事業団)を相手に損害賠償と雇用関係の確認を求めた訴訟(鉄建公団訴訟)の控訴審口頭弁論が十四日、東京高裁で開かれ、南敏文裁判長は解決に向けた当事者間での話し合いを双方に提案しました。
これは和解提案ではなく、採用差別事件全体について当事者間の協議による解決を促すもので、早期解決に向けた新たな変化です。
原告側は記者会見やその後の報告集会で、「裁判長の提案は、これまでの運動と判決の積み重ねの成果。早期解決への道を開くものだ」とし、受け入れる方針を示しました。
同時に、雇用の実現には被告の鉄道運輸機構だけでなく、JR各社の協力が必要だと指摘。「提案は事実上の政治判断を求めるもので、国の対応が今後の焦点になる。雇用、年金、解決金の要求を掲げて、解決へ向けてたたかいを強めたい」としています。
訴訟は、二〇〇二年に国労組合員と遺族二百八十三人がおこしたもの。〇五年九月の東京地裁判決は組合員差別があったと認め、慰謝料の支払いを鉄道運輸機構に命じました。
今年一月の全動労訴訟東京地裁判決も国鉄の組合員差別、不当労働行為を断罪。採用差別された労働者や労働組合、支援団体は一致して早期の全面解決をめざし、国に交渉の席に着くよう求めています。事件の早期解決を求める意見書は、一日現在で七百六十八自治体の議会で千百四十五本可決されています。
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