2008年7月16日(水)「しんぶん赤旗」
油高い 出漁できん
20万隻休漁
燃油価格補てんを 漁民大会
「漁にでられん!」「国は燃油価格に補てん措置を講ぜよ」。全国漁業協同組合連合会(全漁連)など漁業の主要十七団体は十五日、燃油高騰による漁業の危機的状況を訴え全国二十万隻が参加し一斉休漁しました。各地で集会が行われ、東京都内では、全国から三千人以上が結集し、「漁業経営危機突破全国漁民大会」を開催。農水省前などをデモ行進し、政府に漁民の怒りを突きつけました。
「赤字で漁に出られないぞ」「国は漁業を守れ」。会場を埋め尽くした三千人を超える漁民によるシュプレヒコールで、大会の会場となった東京・千代田区の日比谷野外音楽堂は怒りと熱気に包まれました。
原油高で漁船の燃料の価格は、キロリットル当たり約十一万五千円となり、この五年間で三倍にも急騰。経営を圧迫し、漁に出れば赤字という状態が全国で広がっています。
全漁連の服部郁弘会長は主催者あいさつで「漁業者の自助努力は限界を超え、瀬戸際に立たされている。生産体制の弱体化は水産食料の安定供給に支障をきたし、地域社会・経済の崩壊にもつながる」と述べ、「もはや時間はない。漁業・漁村を守る責務が国に問われている」と指摘しました。
全国鰹鮪近代化促進協議会の早崎達哉会長、石川県漁協の岩崎富作副組合長、青森県漁協の熊谷ヒサ子女性協会長の三人が登壇し意見表明。熊谷さんは「油は高い、魚は安い。赤字が増えて出漁できない。われわれに死ねというのか」と漁業の窮状を訴えました。
集会では、(1)燃油価格への必要な補てん措置(2)税制、金融措置における抜本的対策(3)国際原油市場への無秩序な投機資金流入の規制(4)漁業用燃油の安定供給確保―を強く政府や国会に求める決議をあげました。
穀田・紙議員メッセージ
日本共産党の穀田恵二衆院議員(国対委員長)、紙智子参院議員はこの大会に、「一刻も早く燃油高騰に対する直接補てんなど実効性ある支援策を打ち出すべき。私たちも全力で頑張ります」とする連帯のメッセージを送り、紙議員は北海道釧路市の集会に参加してあいさつしました。
■漁業経営危機突破全国漁民大会の参加17団体
・全国近海かつお・まぐろ漁業協会
・全国いか釣漁業協議会
・全国沖合いかつり漁業協会
・全国大型いかつり漁業協会
・全国底曳網漁業連合会
・日本トロール底魚協会
・全国さんま漁業協会
・日本定置漁業協会
・全国まき網漁業協会
・北部太平洋まき網漁業協同組合連合会
・海外まき網漁業協会
・日本遠洋旋網漁業協同組合
・全国遠洋かつお・まぐろ漁業者協会
・日本かつお・まぐろ漁業協同組合
・全国海水養魚協会
・全国漁業協同組合連合会
・大日本水産会
5年で燃油3倍化
全国漁業協同組合連合会によると、漁船に使用するA重油価格は七月に一キロリットル当たり十一万五千四百円とこの五年で約三倍に跳ね上がりました。一方、魚価は主に市場での競り取引で決まるため、漁業者の意向を価格に反映させることは困難です。漁業情報サービスセンターによると、イワシやサバなど主要魚種の平均産地価格は五年前の三割高の水準。世界の水産物需要の高まりで若干上昇しているものの、燃料価格の上昇分を補うにはまったく不十分です。
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