2008年6月28日(土)「しんぶん赤旗」
6カ国協議再開 来週にも
申告検証、核廃棄を論議
韓国各メディアは二十七日、大統領府と外交通商省高官らの話として、昨年十月以来中断している六カ国協議が早ければ三十日に再開されると報じました。北朝鮮が提出した核計画の申告書の検証、完全な核廃棄をめざす非核化「第三段階」のロードマップ(行程表)づくりが話し合われます。
北朝鮮の非核化は現在、第二段階の大詰めを迎えています。核計画申告書提出と並んで、北朝鮮が履行する措置の柱が核施設の無能力化です。十一の工程のうち八つは済んでいます。残りの三つは、(1)八千本の使用済み燃料棒のうち三千二百本の搬出(2)未使用燃料棒の処理(3)原子炉制御棒の稼働措置の搬出―だといいます。
来週にも九カ月ぶりに再開されるとみられる六カ国協議では、申告書の検証が焦点となります。申告書がどれだけ正確かによって、第三段階の目標である「北朝鮮の完全な非核化」の成否が左右されます。
申告書には、核施設リスト、核兵器用プルトニウムの量と用途、産業用低濃縮ウランの在庫が明記されています。一方で、米国が主張する高濃縮ウラン計画とシリアへの核技術協力については別文書がつくられ、北朝鮮から米国に渡されました。「米国の懸念を北朝鮮は認識する」との内容だといいます。製造された核兵器は、どちらの文書にもありません。
ハドリー米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は二十六日、「高濃縮ウランとシリアへの協力について、申告書には『現在は行っておらず、将来も行わない』と書いてある」と明らかにした上で、「過去の活動を正確に知ってこそ、いま行っていないことの意味が分かる」と述べ、これらの問題も検証の対象となるとの考えを示しました。
米国による北朝鮮に対するテロ支援国の指定解除が発効するとされる八月十一日までの間に、六カ国協議では申告書の内容検証と第三段階のロードマップ(行程表)づくりに取りかかります。
第三段階のロードマップづくりでは、申告書からもれたすべての問題も対象となるため、協議は難航が予想されます。申告書に明記されたプルトニウムの量も、北朝鮮の主張と米国の推定は異なっています。各国は「申告は核廃棄の始まり」と口をそろえています。北朝鮮が申告書の検証に誠実に協力することが求められます。(面川誠)
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