2008年6月16日(月)「しんぶん赤旗」
南北朝鮮共同宣言8周年
和解・交流の発展望む
韓国各地で集会
韓国と北朝鮮が二〇〇〇年に史上初の首脳会談で共同宣言を発表してから十五日で八周年を迎えました。韓国各地で同日、市民団体が八周年記念と米国産牛肉輸入の全面再交渉を求める集会を合わせて開催。北朝鮮との和解・交流の成果を継承・発展させるとともに、米国に対して自主性のある政策をとるよう政府に求めました。
南北関係はこの八年間、金剛山観光や開城工業団地の造成などが進み、韓国側から休戦ラインを越えて日帰り通勤ができるほどに進展しました。昨年十一月の第二回首脳会談では、休戦状態を平和協定に転換する協議の早期開始でも合意しています。
しかし、今年二月に発足した李明博(イ・ミョンバク)政権は金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の対北朝鮮政策が一方的な支援が目立つ政策だったとして、北朝鮮による核放棄の進展や北朝鮮の「対外開放」などを前提とした支援政策を明らかにしてきました。
これに対し北朝鮮は、同国体制の問題にまで踏み込んだ李政権の政策に反発し、南北政府間の対話を中断したままです。
対米政策では、米国産牛肉の全面的な輸入再開に合意した姿勢が、国民から「屈辱的な対米外交」との批判を浴び、政権への信頼失墜を呼んでいます。
朝鮮半島をとりまく情勢は、北朝鮮による核計画の申告と米国による北朝鮮のテロ支援国指定解除に向けた米朝協議が進み、北朝鮮の非核化「第二段階」の大詰めに来ています。停滞していた日朝関係も交渉が再開し、北朝鮮が日本人拉致問題の再調査などに同意し、前進へ一歩進みました。
韓国ではいま、周辺情勢が急展開するなかで南北対話が断絶したままでは、北東アジアの平和秩序づくりで韓国が取り残されるという懸念が出ています。
有力紙・中央日報十四日付の社説は「(日朝)国交正常化が実現すれば、日本は北朝鮮への最大の支援国になりうる」と指摘。米朝・日朝関係が進展する一方で南北関係が停滞することに懸念を示し、「対北朝鮮政策と外交政策の全面的な再検討が必要だ」と韓国政府に求めました。
十五日に南北双方の統一運動団体などが北朝鮮の金剛山で開催した記念式典で発表された共同声明は、南北共同宣言と〇七年十一月の「南北首脳宣言」を引き継ぎ発展させるよう南北の政府に訴えました。
李政権は北朝鮮に対し、対話の早期再開に応じるよう、繰り返し呼びかけていますが、北朝鮮は拒否し続けています。(面川誠)
南北共同宣言 二〇〇〇年六月十五日、韓国の金大中(キム・デジュン)大統領と北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)朝鮮労働党総書記の間で合意した文書。▽南北統一問題を民族同士で自主的に解決▽離散家族の再会など人道問題の解決▽経済協力を通じた民族経済の均衡的な発展―などを盛り込みました。
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