2008年6月5日(木)「しんぶん赤旗」
後期高齢者医療制度
入院中に75歳 医療費が2倍
井上議員が追及
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「七十五歳の誕生日をたまたま入院して迎えたら、医療費が二倍になってしまった」―。後期高齢者医療制度では、こんな事態まで起こることが三日の参院厚生労働委員会で日本共産党の井上哲士議員の質問から明らかになりました。
医療機関で自己負担限度額を超えて一部負担金を支払った場合には、申請によって限度額を超えた金額が払い戻される仕組みになっています。ところが、月の途中で七十五歳の誕生日を迎えると、後期高齢者医療制度に加入して医療保険が切り替わるため、一部負担金は再びゼロ円からの計算になって自己負担限度額は最大で二倍に引きあがります。
井上氏が取り上げたのは、四月半ばに七十五歳になったために、自己負担限度額の二倍の医療費を負担させられた京都市内の病院に入院するお年寄りの事例です。
「自分の意思とは無関係に無理やり、これまでの保険から引きはがされた結果、医療費を二倍も払わなくてはならない。なぜこんなことが起こるのか」と迫る井上氏に舛添要一厚生労働相は、「制度の運営主体が違うことで、そういうことも起こる。今後の検討課題だ」と、まるで人ごとのように答弁しました。
「七十五歳を病院で迎えたら、普通はプレゼントをもらいたいところだ。それを『今回は誕生祝いで医療費二倍いただきます』と。これでは長寿への懲罰に等しいやり方だ」。井上氏の指摘には、委員会室からも「ひどいやり方だ」と、どよめきの声が起こりました。
年齢だけで医療保険を区切る制度の欠陥を象徴する問題の解決には、やはり同制度の廃止しかないことを示した、まさに象徴的な事例でした。
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