2008年5月31日(土)「しんぶん赤旗」
私立高校生
経済的理由で中退 最大
07年度 背景に深刻な貧困化
全国私教連調査
二〇〇七年度に経済的理由で私立高校を退学した生徒の割合が過去十年間で最高になったことが三十日、全国私立学校教職員組合連合(小村英一委員長)が発表した調査結果で明らかになりました。
調査は二十八都道府県・二百三十四の私立高校(生徒数計十九万五千二百六十四人)を対象に実施しました。
高校では経済的理由による中退者は四百七人で対象生徒数の0・21%となり、〇六年度の0・11%を大きく上回りました。一九九八年度に調査を始めて以来、最高だった〇四年度の0・19%を超えました。
各地からの報告では「家の借金の関係で学校を辞めて働かないと返済ができないと中退」(山形)、「両親が離婚、奨学金などでやりくりしていたがうまくいかず、本人もクラブを休んでアルバイトを始めたがうまく回転せず退学」(大阪)、「親が自営業でやっていた会社が倒産。両親が出稼ぎに行き一人でアパート暮らしを始めアルバイトで生活している」(熊本)など深刻な例が多数あがっています。
「入学予定者百八十三人中三人が経済的理由で入学辞退」(兵庫)という高校もあります。
退学にはいたらなくても「授業料が卒業式までに完納できず卒業延期。本人がアルバイトをして納めようとしているが、家庭もそのお金で支えているので思うように完納できない」(愛知)、「一年間の授業料と修学旅行費が払えず除籍になりかかるが、何人かの教員に呼びかけお金をつくって貸し、進級させることができた」(同)などの例が出ています。
調査結果について全国私教連は、「深刻な経済格差・貧困化の進行で私学の学費負担が子どもと保護者に重くのしかかっている」と分析。「学費が払えないために高校を辞めなければならない状況は早急に是正しなければならない」とし、年収五百万円以下の世帯の授業料全額助成などを求め、全国署名運動などに取り組むことにしています。
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