2008年5月22日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党国会議員の質問
“特定の価値”押しつけぬ
社会教育3法案 石井議員に文科相
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日本共産党の石井郁子議員は二十一日の衆院文部科学委員会で、社会教育関連三法(社会教育法、博物館法、図書館法)改定案について、社会教育や家庭教育に対する行政の関与・統制が強まる危険性をただしました。
改定案は、公民館などでの「学習の成果を活用して」、教育委員会が「学校地域支援本部」などの事業を実施しようとしています。
石井氏は「学習の成果を活用して」の規定の新設について「成果が出ない学習は行政が後回しにして、自由で自主的、自発的な学びに枠がはめられ、制限されるのではないか」と質問。文科省の加茂川幸夫生涯学習政策局長は「行政が学習の成果を型をはめて押しつける前提にたつものではない」と答弁しました。
石井氏は、〇六年三月に福井県生活学習館でジェンダー関係書籍百五十冊が撤去された例をあげ、「家庭教育に関する情報の提供」(社会教育法第五条)について、行政が家庭に情報提供する場合、特定の価値観が持ち込まれる危険性があると追及。渡海紀三朗文科相は「何かを押しつけたりすることは一切ない。子育て情報を家庭に発信、提供するのが趣旨だ」と答えました。
石井氏は社会教育委員制度の規制緩和で「社会教育行政が教育委員会から首長部局に移る動きが広がる」「社会教育を縮小する方向だ」と指摘しました。
療養病床減らすな
小池議員追及 「実態無視の計画」
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日本共産党の小池晃議員は二十日の参院厚生労働委員会で、政府が二〇一二年度までに医療療養病床を現在の二十五万床から十五万床に削減する計画を示していることについて、「医療や介護現場の実態を無視したものだ」と述べ、方針転換するよう迫りました。
厚生労働省は、各都道府県に対し、医療費抑制のために療養病床削減などを含んだ医療費適正化計画を作らせています。小池氏が、各都道府県が作成した二〇一二年度に必要な療養病床数の合算をただしたのに対し、厚労省の水田邦雄保険局長は、「現在、公表されている三十三都道県の目標数を積み上げると約十七万床になる」と述べ、厚労省の削減目標を大きく上回ったことを明らかにしました。
小池氏は、大阪、京都など、まだ公表されていない十四府県の案段階の計画を含めると二十一万床を超えるとして、「結局、二〇一二年度の医療療養病床数は、現在の水準がほぼ維持される見通しになっている」とただしました。
舛添要一厚労相は「(政府の)想定が必ずしも正しいとは限らないので、(小池)委員の指摘もある意味で一つの真実」「医療病床の再編成をどう考えるか、もう一度きちんと推計し直す」と答弁しました。小池氏は「実態を見ない削減計画だったのは明らかだ」と述べ、削減方針の転換を重ねて求めました。
紙議員
コメ自給を優先に
バイオ燃料法成立で主張
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参院本会議で二十一日、農林水産物のバイオ燃料への利用促進をはかるバイオ燃料法案が全会一致で可決成立しました。
これに先立ち二十日に行われた参院農水委員会の審議で、日本共産党の紙智子議員は、法案が、バイオ燃料の原料として稲ワラ、間伐材、畜産廃棄物などとともに、米・麦などの穀物も対象としていることについて、「わが国の農政の最大課題は食料自給率引き上げで、米を安易にバイオ燃料の原料にすべきではない」と主張しました。
若林正俊農水相は、食料・飼料と競合しないことを基本とするとしたうえで、「労働力がなく食用の高品質作物ができない、飼料にするにも地域に畜産がない、などの事情がある耕作放棄地は、可能ならバイオ燃料の原料作物の作付けをすると仕分けしている」と答えました。
政府は、二〇一〇年までに五十万キロリットルのバイオ燃料の導入目標を掲げていますが、現状ではそのほとんどを輸入に依存することになります。紙氏は、輸入バイオ燃料の導入にあたっては、「食料需要と競合しない、加工・流通・消費のすべての段階で新たな環境破壊をひきおこさない、そのためのガイドラインが必要だ」と主張しました。
特別支援学校
寄宿舎の役割大きい
文科相が山下議員に答弁
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日本共産党の山下芳生議員は十九日の参院決算委員会で、特別支援学校(盲・ろう・養護学校)の寄宿舎の役割について、政府の認識をただしました。
全国で千十三ある特別支援学校には、三百三十三の寄宿舎があり、一万二百二十九人の児童・生徒が生活を送っています。
山下氏は寄宿舎の役割について、自らが見聞した事例を紹介しながら説明。(1)通学や家庭生活の困難を支える(2)子どもたちが自立し、社会参加する力を培う(3)社会の変化に応じて、不登校や発達障害など子どもたちの新しい障害、困難に対応する場所―と述べ、政府の認識を求めました。
渡海紀三朗文科相は、「寄宿舎の持つ役割は大きい」とそれぞれの役割について認めました。文科省の金森越哉初等中等教育局長は「学校教育法が変わっても、寄宿舎の位置づけは変わらない」と答弁しました。
山下氏は寄宿舎が縮小・廃止されている地方があることを取り上げ、国としての調査・支援を求めました。
渡海文科相は「機会均等の問題として向き合いたい」と述べたものの、「地方分権だから、地方が責任を果たすべき」などと答弁。山下氏は「どの地域に住んでいようが、子どもたちの権利を保障する立場で行政をすすめてもらいたい」と求めました。
船員派遣事業の禁止を
穀田議員 社会保険助成も必要
衆院委で法案可決
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衆院国土交通委員会は二十一日、海上運送法・船員法改定案を賛成多数で可決しました。日本共産党は反対しました。
同改定案は、日本籍船や日本人船員の激減をくいとめるため、海運業者の税負担を軽減する「トン数標準税制」を導入すると同時に、「航海命令」で海運業者に国際海上輸送への従事を強制することができるようにするもの。共産党の穀田恵二議員は反対討論で、「航海命令はテロや紛争を含む非常時に民間船舶を強制動員するもので、認められない」と述べました。
採決に先立つ質疑で穀田氏は、戦前の過酷な労働を強いられた船員のたたかいを描いた小林多喜二の『蟹工船』が最近脚光を浴びていることにふれつつ、日本籍船・船員激減の背景にある海運会社と政府の責任を検証すべきだと指摘。大手海運会社が「コスト競争力の強化」と称し、自社の船を他国籍に登録して固定資産税を節約する「便宜置籍船」や賃金の安い外国人船員を増やして空前の大もうけをあげるのを、政府は規制緩和と優遇策で応援してきたと告発しました。
その上で穀田氏は、「海運会社は減税なしでも日本籍船、日本人船員を増やすことで社会的責任を果たせるはずだ。そのためにもコスト削減競争やリストラをやめさせるべきだ」と強調。〇四年の船員法改悪で解禁された「船員派遣事業」を禁止し、ドイツのように船員税制や船員社会保険制度への助成策を導入するよう迫りました。
冬柴鉄三国土交通相は「その通り」と答弁し、対策の必要性を認めました。
特定商取引・割賦販売法改正案
契約解除期間広げて
参考人質疑 吉井議員
悪質な訪問販売などによる消費者被害を予防し、救済するための特定商取引法・割賦販売法改正案の参考人質疑が二十一日の衆院経済産業委員会で開かれ、参考人から「全体的に評価できる」との意見や早期成立に期待する声が多数あがりました。
日本弁護士連合会の池本誠司消費者問題対策委員会副委員長は「支払い能力を無視した悪質・強引な商取引は、クレジット契約があるからこそできる」と指摘。改正案がクレジット会社の既払い金返還責任を盛り込んだ点について、「重要な規定だ」と述べました。
全国消費者生活相談員協会の下谷内富士子理事長は、「法改正は高く評価する」としつつも、店舗販売でも悪質な商取引が横行していることをあげ、「こうした事例もきちんと調査してほしい」と述べました。
日本共産党の吉井英勝議員は、改正案が不適正な商取引について、「一年以内に限り契約を解除できる」としている点について質問。悪徳商法の被害者が、別の業者からも不当契約を次々結ばされる「次々販売」などの被害実態を示し、「契約解除期間を一年以上に広げることが必要ではないか」とただしました。
日弁連の池本副委員長は、「ご指摘の通り」と述べた上で、「一年を超えたものについても、従来の民法上の解釈を活用して裁判の上で、救済したい」と強調しました。
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