2008年5月20日(火)「しんぶん赤旗」
権限もつ「消費者庁」に
事故遺族ら首相に意見書
全国五十一の消費者団体が加入する「消費者主役の新行政組織実現全国会議(ユニカねっと)」は十九日、首相官邸を訪れ、現在検討が進められている「消費者庁」創設について、福田康夫首相と面会し意見書を提出しました。消費者の目線で強い権限と機能をもつ組織にしてほしいと求めました。
パロマ工業製のガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒事件で息子を失った上嶋幸子さん(54)、息子がこんにゃく入りゼリーをのどに詰まらせ亡くなった村田由佳さん(46)らが面会後に会見しました。
上嶋さんは、息子の事件前にも二十件以上の死傷事故が発生していることを示して、「早い段階で動いていれば、うちの子は死ななくて済んだ」などと首相に訴えたと報告。
首相は「設立の必要性を感じる。皆さんの期待にこたえたい」とのべたといいます。
村田さんは昨年三月、小学一年生の息子を亡くしました。学童保育所でおやつに食べた、こんにゃく入りゼリーが原因でした。
会見で村田さんは、「困っている消費者の立場に立って迅速に動く庁の設立をお願いしてきた。被害者が少なくなれば」と語りました。
会見に同席した日本弁護士連合会消費者行政一元化推進本部の中村雅人本部長代行は、意見書には日ごろ被害者から相談を受け現場で感じていることを盛り込んだと紹介し、「今後は実現に向けて世論を盛り上げるのが重要になってきている」と話しました。
消費者庁をめぐっては、首相直轄の消費者行政推進会議が組織案を検討中。六月初めにも最終報告をまとめる予定で、政府は秋の臨時国会での関連法案提出を目指しています。