2008年5月20日(火)「しんぶん赤旗」

築地移転

シアンも検出 860倍

東京都専門家会議 調査公表、対策提言へ


 東京都が築地市場(中央区)の移転先としている江東区豊洲地区の土壌汚染問題で、汚染対策を検討する都の専門家会議(座長・平田健正和歌山大学教授)が十九日、予定地の約四千百カ所で行った再調査の詳細な結果を公表しました。

 これによると、表層土壌から発がん性物質のベンゼンが環境基準の四万三千倍の濃度で検出されたのをはじめ、三十五カ所で基準を超えました。本来検出されてはならない猛毒のシアン化合物も、一カ所で基準の八百六十倍が見つかるなど、九十カ所で基準を超えました。ヒ素は最大で七倍など三百七カ所、六価クロムが十カ所で基準を超えました。

 また、地下水からもベンゼンが基準の一万倍を最高に、五百六十一カ所で基準を超過。シアン化合物は基準の百三十倍を最高に、九百六十六カ所で基準を超えました。ヒ素は四十三倍を最高に、百七十七カ所で環境基準を超えました。

 専門家会議は再調査結果を受けた土壌汚染対策として、地下二メートルまでの土壌を入れ替え、それより深い土壌は「基準の十倍以上を処理する」としていたのを「基準以上を処理」にしました。七月末までに提言をまとめる予定です。

 この日、三百七十七人が傍聴を希望して詰めかけましたが、傍聴できたのは四十人だけでした。委員との質疑応答では、傍聴者からは「土壌調査の深度が不十分だ」「生鮮食料品が売れなくなる。豊洲移転をやめるべきだ」との発言や、「『移転先にありき』の議論ではないか」という批判が相次ぎました。平田座長は「移転するかどうかは都が都民と話し合って決めること」とのべるにとどまりました。


「移転断念を」

共産党都議

 日本共産党の小竹ひろ子都議(都議会経済・港湾委員)は、十九日の豊洲新市場予定地の土壌・地下水汚染についての専門家会議の再調査結果を受け、築地市場の豊洲移転断念を石原慎太郎都知事に求める見解を発表しました。見解は、土壌深部までを環境基準以下にすることなど、専門家会議の対策提言が莫大(ばくだい)な経費がかかるうえ、地下水が汚染されている以上、土壌の再汚染が避けられないなどとして「専門家会議及び東京都が計画している対策では、食品を扱う市場の安全を確保する保障はありません」と指摘しています。


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