2008年4月25日(金)「しんぶん赤旗」
在日米軍「思いやり予算」特別協定
井上議員の反対討論
参院委
日本共産党の井上哲士議員が二十四日、参院外交防衛委員会でおこなった在日米軍への「思いやり予算」特別協定に対する反対討論は、つぎのとおりです。
私は、日本共産党を代表して、在日米軍駐留経費負担特別協定に反対の討論を行います。
理由の第一は、そもそも地位協定第二四条は、在日米軍の維持経費について「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」と規定しており、わが国に負担義務は一切なく、本特別協定は、この原則に反するものだからです。
政府は一九七八年、「思いやり」と称して、米軍駐留経費の一部負担をはじめ、一九八七年には、地位協定の解釈からも説明のつかない負担受け入れのために、特別協定を締結しました。それ以降、「暫定的、特例的、限定的」と繰り返しながら、基地従業員の給与本体・諸手当、光熱水料等、訓練移転費へと負担は拡大され、米軍人・軍属の給与以外の駐留経費は、ほとんどすべてわが国負担となり、「思いやり予算」の総額は、五兆円を超えます。
本特別協定の継続は、地位協定の負担原則を重ねて踏みにじるもので、絶対に容認できません。
第二に、政府の財政制度等審議会でさえ、「日米両国を取り巻く社会・経済財政情勢は大きく変わってきており、従来どおりの負担の継続は適当ではない」と指摘しているように、政府が「米軍が困っているから」と始めた「思いやり予算」を続ける理由は、いまやまったく成り立たないからです。
しかも、訓練移転費や娯楽施設にかかわる人件費など、「思いやり予算」は、「至れり尽くせり」のものとなっています。
政府は、財政赤字を理由に、次々と国民生活予算を削減し、今月からは後期高齢者医療制度が始まっています。まさに「思いやる」相手が違います。「基地あるが故」の米兵による凶悪事件も繰りかえされています。「思いやり予算」を、これ以上続けることを国民は到底納得するものではありません。
さらに政府は、米軍再編を強行しており、米軍関連経費の新たな膨張が始まっていることも重大です。
今回の特別協定は、われわれの反対で参議院においては承認されないでしょう。一院において、条約が承認されないのは現行憲法下では初めてです。政府及び国会はこのことを重く受け止め、しかるべき対応をとられるよう強く望みます。
本特別協定を含む「思いやり予算」はやめるべきだと改めて主張し、反対討論とします。
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