2008年4月22日(火)「しんぶん赤旗」
防衛省汚職初公判
軍事利権の一端が露呈
政治家関与の解明必要
解説
防衛省汚職事件の初公判では、守屋武昌前次官と軍需企業の癒着ぶりが明らかにされました。しかし、防衛族政治家の関与をはじめ、「政軍財」利権構造の全体像には言及しませんでした。
被告から接待
守屋被告は、国会の証人喚問で山田洋行元専務・宮崎元伸被告との宴席に久間章生元防衛相、額賀福志郎財務相(元防衛庁長官)が同席していたと証言。久間氏は、高級すっぽん料理屋で宮崎被告から接待を受けたことも明らかになっています。
公判で、検察側が守屋被告の便宜供与の具体例として真っ先にあげた次期輸送機CXのGE社製エンジン調達でも政治家の影がちらついています。
証人喚問では、防衛大臣当時の久間氏が防衛省幹部に指示し、宮崎被告側を通さずにGEから直接購入できるよう交渉させたと指摘されました。
検察側は、防衛族議員と日米軍需産業を結ぶ黒幕として注目され、参考人招致された「日米平和・文化交流協会」の秋山直紀常勤理事にもまったくふれませんでした。
久間氏は、癒着ぶりが厳しく批判された秋山氏を同行しての訪米を予定していると報じられています。
「防衛族議員は、自分たちに追及が及ばないと安心して、また動きを活発化している」(自民党衆院議員)との指摘もあります。
今後の課題
守屋被告らの犯罪は、決して特別なものではなく巨額の軍需調達をめぐる利権構造の一端が露呈したものです。捜査当局には、政治家や大手軍需企業の疑惑に迫ることが今後の課題として残されています。(軍事利権取材班)
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