2008年4月19日(土)「しんぶん赤旗」
温室ガス 2025年まで増加容認
“米大統領は時代錯誤”
独環境相が批判
【ロンドン=岡崎衆史】ブッシュ米大統領が新たに発表した地球温暖化問題での中期目標について、ドイツのガブリエル環境相は十七日の声明で、「ネアンデルタール人の演説」だと厳しく批判しました。
ブッシュ大統領は十六日、二〇二五年まで温室効果ガス排出量の増加を容認する中期目標を発表していました。
独環境省は、「ガブリエル氏 ブッシュ氏のネアンデルタール人の演説を批判」の見出しで同省ホームページに声明を掲載。米国の新目標が、地球温暖化防止の努力を強める世界の流れに背を向ける著しい時代錯誤であると強調しました。
ガブリエル氏は声明で、「大統領は、世界的挑戦にふさわしくない、失望させる演説をした」と指摘。インドネシア・バリで昨年十二月に開かれた気候変動枠組み条約第十三回締約国会議(COP13)や、ドイツ・ハイリゲンダムで昨年六月に開かれた主要国首脳会議(G8サミット)の合意と比べても、今回発表の新目標は温暖化防止上「後退」したとの見方を示しました。
さらに、「産業国が拘束力ある上限と削減目標を持たなければ、気候変動に歯止めはかからない」「他の国が後に続くためにも、欧州と米国は先頭に立たなければならない」と指摘。米国が地球温暖化防止の取り組みの先頭に立たないことを批判し、ブッシュ大統領の演説のモットーは、「リーダーシップ(指導性)ではなくて、ルーザーシップ(敗北主義)だ」と酷評しました。
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