2008年4月10日(木)「しんぶん赤旗」
文科省汚職 石井議員が追及
五洋建設 31億円受注
06年まで贈賄容疑者在籍
「構造的な疑惑」
文部科学省の施設整備をめぐる汚職事件で、贈賄容疑で逮捕された倉重裕一容疑者(58)が顧問を務める「ペンタビルダーズ」(東京都新宿区)の親会社で、建設大手の「五洋建設」(同文京区)が二〇〇三年度以降の五年間で約三十一億円の同省関連工事を受注していることが、九日の衆院文部科学委員会で明らかになりました。日本共産党の石井郁子議員の求めに同省が明らかにしたもの。石井議員は「文教施設が特定企業と天下り官僚の食い物にされているという構造的な疑惑であり、徹底解明が必要だ」として、国会での集中審議を要求しました。
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政府資料によると、同社は〇三年度以降の五年間で、金沢大学の総合研究棟新営工事(七億六千四百四十万円)や、広島大学浮き桟橋改修工事(六百三十万円)など八件、三十一億円分(共同企業体含む)の工事を受注していました。また、五洋建設が100%出資する子会社、ペンタビルダーズ社は〇六―〇七年度で三億六千万円分を受注。倉重容疑者が顧問就任後、同省関連工事で急速に実績を伸ばしており、収賄容疑で逮捕された文科省前文教施設企画部長、大島寛容疑者(59)と癒着を深める中でペンタ社の受注につなげていたとみられます。
一方、倉重容疑者は、〇六年三月に倉重容疑者がペンタビルダーズ社顧問に就任するまで五洋建設に在籍。同容疑者は東京支店総務部長も務めていました。大島容疑者と倉重容疑者は十年来のつきあいとされ、長年の癒着の中で五洋建設側に便宜を図った疑いがもたれています。
さらに倉重容疑者は、文部省出身の柳川覚治自民党元参院議員(故人)の私設秘書として活動していたことも判明。柳川氏が同省の工事を受注する業者らでつくる社団法人「文教施設協会」の会長を務めていたことから、こうした人脈をいかして業界と同省のパイプ役を務めた疑いも浮上しています。
石井氏は「このさい一切の膿(うみ)を出す必要がある」として、政官業の癒着をただしたのに対し、同省は「倉重容疑者と協会はなんら関係ないと聞いている」などと答弁しています。
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