2008年4月10日(木)「しんぶん赤旗」

病院も患者も困惑

“診察5分以上”の時間要件

中止求め保団連要請

小池氏が同席


 開業医などでつくる全国保険医団体連合会(保団連)は九日、四月の診療報酬改定で外来管理加算の算定に診察時間五分以上という時間要件が設けられた問題で、厚生労働省に対して二年後の改定を待たずに緊急に中止するよう求めました。住江憲勇保団連会長は、応対した岸宏一副大臣に、時間要件の導入が地域医療機関の経営圧迫につながる危険性を訴えました。

 外来管理加算への時間要件導入をめぐっては、現場の医師から「患者の待ち時間が増える」「診察できる患者数が減り、大幅な減収になる」「診察時間をすべてカルテに記入することは困難」などの声があがっています。

 要請で住江会長は「医療崩壊を加速することが許されるのかという問題。(外来管理加算の抑制など)医療費削減のための診療報酬改定では国民のための医療はまっとうできない」と訴えました。

 要請には日本共産党の小池晃参院議員が同席し、「医師としての経験から、短い時間で説明できる患者もいれば、二、三十分かかる人もいる。五分を境に診察料を上げたり下げたりすれば、医師と患者の関係にも悪影響を与えかねない」と撤回を迫りました。

 岸副大臣は時間要件について「これがベストだと思ってはいない。(医療費削減のために)なんとかねん出したという感はまぬがれない」として、「やってみて悪い影響があればやめるべき。注意深く見守っていきたい」と述べました。一方、原徳壽保険局医療課長は「中医協(中央社会保険医療協議会)で検証していく。次の改定時に向けて議論している」と述べるにとどまりました。

 住江会長は時間要件撤廃を求める医療機関の署名を手渡し、あらためて緊急に撤回するよう求めました。


 外来管理加算 二百床未満の中小病院や診療所で、検査や処置などがない外来患者を再診した際に加算する診療報酬。厚生労働省は二〇〇八年度診療報酬改定で「医師が実際におおむね五分を超えて直接診療を行っている場合に算定できる」と時間要件を設け、五分未満の診療は加算を認めないとしました。


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