2008年4月9日(水)「しんぶん赤旗」
水俣病
チッソが責任逃れ
市田議員 被害者救済を要求
日本共産党の市田忠義議員は八日の参院環境委員会で、水俣病の加害企業・チッソが、会社の分社化構想を打ち出し、被害者救済の責任逃れを図ろうとしていることを批判し、実態調査をもとにした被害者の早期救済を強く求めました。
市田氏は、一九九五年の政治解決でチッソが被害者に支払った一時金(慰謝料)三百十七億円のうち、国が85%にあたる二百七十億円を負担し、後にチッソの負債が免除された事実を指摘。さらに、行政が水俣病の治療費を十二年間で約千二百億円以上負担してきた事実も示し、チッソが被害者救済への責任を果たしていないことを告発しました。
その上で市田氏が、チッソの分社化構想は加害責任をあいまいにするもので許されないと迫ったのに対し、鴨下一郎環境相は、「救済策を実現し、補償を完遂するのが先決だと思う。(チッソは)責任の所在を明確にしておくべきだ」と答弁しました。
市田氏は、二〇〇四年に熊本県が水俣病の救済に向けて不知火(しらぬい)海沿岸の四十七万人調査を提起するなか、環境省が医師・看護師不足、個人情報保護などを理由に実施を拒んできたことを指摘。「調査により、黙っていた被害者も初めて手を挙げることができる。実態をつかんでこそ有効な対策もうてる」と指摘し、実態調査を環境省として積極的に行うべきだと迫りました。
鴨下一郎環境相は、「さまざまな制約要因があるが、有効な(調査の)あり方は何かを検討したい」と述べました。
チッソの分社化 液晶テレビ向けの関連材料などで業績を伸ばすチッソの事業を継承する新会社を設立し、現チッソは水俣病の被害者補償と債務を担う会社にする構想。後藤舜吉チッソ会長は昨年十二月の水俣市議会で「補償の部分と、事業の部分との帳簿を分ける」などと説明しています。