2008年3月21日(金)「しんぶん赤旗」

延命治療抑制が目的

厚労省担当者 後期高齢者医療を解説


 後期高齢者医療制度(四月実施予定)の解説書のなかで、厚生労働省の担当者が「後期高齢者の場合は、高額な医療費を使っても亡くなられる事例が多い」「それを抑制する仕組み」などとして、同制度によって、七十五歳以上の終末期医療費を抑え込むことができると説明していることが分かりました。

 この解説書は『高齢者の医療の確保に関する法律の解説』(二月発行・法研)。編著者は、同制度創設に携わる土佐和男・高齢者医療制度施行準備室室長補佐です。

 問題の部分は、「後期高齢者の診療報酬体系の必要性」の記述。四月からの診療報酬(医療の値段)で、七十五歳以上だけ別建ての終末期医療の診療報酬体系を新設した理由を解説しています。

 土佐氏は、「年齢別に見ると、一番医療費がかかっているのが後期高齢者」「この部分の医療費を適正化していかなければならない」と強調。特に終末期医療の問題を挙げ、「後期高齢者が亡くなりそうになり、家族が一時間でも、一分でも生かしてほしいと要望して、いろいろな治療がされる。それがかさむと500万円とか1000万円の金額になってしまう」と、延命を求めることが医療費膨張の原因であり、問題だ、と決めつけました。

 そして、「家族の感情から発生した医療費」を「抑制する仕組みを検討するのが終末期医療の評価の問題である」として、後期高齢者の新たな診療報酬体系の意図が、「延命治療」の制限にあると力説しました。

 終末期の診療報酬体系が後期高齢者だけ別建てになっている問題を追及した日本共産党の小池晃参院議員の予算委員会質問(十四日)に、舛添要一厚労相は「医療の手を抜いて安上がりにする意図はない」と答弁しました。

 しかし、この解説書は、終末期医療で後期高齢者の医療費を抑え込みたいという制度設計の実務担当者の本音を示しています。


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