2008年3月13日(木)「しんぶん赤旗」

日銀総裁人事を否決

参院 野党反対で白紙に


 参議院は十二日の本会議で、国会同意人事である日本銀行正副総裁案を採決し、日銀総裁候補の武藤敏郎同副総裁を日本共産党、民主党、社民党など野党の反対多数で不同意としました。

 二人の副総裁候補のうち、白川方明京都大学大学院教授(元日銀理事)は自民、公明両党に加え民主、社民両党も賛成し同意されましたが、伊藤隆敏東京大学大学院教授(経済財政諮問会議議員)については、野党の反対多数で不同意となりました。日本共産党は、すべての案に反対しました。

 日銀正副総裁人事案の否決は、一九九八年四月の改正日銀法の施行以来、初めてです。

 衆院本会議での同人事案の採決は十三日に行われますが、国会同意人事は、衆参両院のうちどちらか一院でも否決すれば白紙に戻ります。このため、政府は今後、武藤氏と伊藤氏に代わる新たな人事案を国会に示すことが求められます。

貧困拡大のレール敷いた

市田氏「武藤氏ふさわしくない」

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(写真)記者会見する市田書記局長=12日、国会内

 日本共産党の市田忠義書記局長は十二日、国会内で記者会見し、日本銀行の正副総裁人事案に反対した理由を説明したうえで、政府・与党が「日銀総裁が空白になる」と野党を批判していることに反論しました。

 市田氏は、武藤敏郎副総裁の総裁昇格に不同意とした「最大の理由」として、同氏が二〇〇〇年から大蔵・財務事務次官をつとめ、小泉「構造改革」を推進する先頭にたってきたことをあげ、「貧困と格差を拡大する大もとのレールをしいた」と指摘。五年前に日銀副総裁に就任してアメリカの圧力のもと超低金利政策をとり、日本の金融を異常な状況にした責任も示し、総裁にふさわしくないと強調しました。

 副総裁候補の白川方明京大大学院教授については、同氏が日銀理事をつとめながら、日銀の異常な金融政策に「明確な批判的見地をとっているとはみえない」と表明。「超低金利政策の一端を担い、日銀の金融政策の枠を出るものではないため、賛成しがたい」と述べました。

 同じく副総裁候補の伊藤隆敏東大大学院教授にかんしては、二〇〇六年から経済財政諮問会議の議員をつとめ、「財界メンバーとともに、文字通り弱肉強食の『構造改革』を推進してきた中心人物であるため、反対した」と述べました。

 そのうえで、市田氏は、政府・与党が「日銀総裁の空白をうむ責任は重い」と野党を批判していることについて、「国会の同意をセレモニー化するものだ」と反論。「日銀総裁は、政府が国会の同意を得て任命することとなっており、その際、各党が賛否の意思を表明するのは当然のことだ。『反対したら、空白ができる』というのなら、各党は政府の提案したものに無条件で賛成しなければならなくなる」と批判しました。

 一方で、市田氏は「日銀の総裁が、いつまでも空白であっていいとは思っていない」と表明。「人事案を提案する権限は政府にある」として、各党の理解を得られやすい人物を政府が提案するのが本来の道だと強調しました。


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