2008年2月22日(金)「しんぶん赤旗」
論戦ハイライト
衆院予算委 笠井議員が追及
“悪夢”の道路計画 誰のため
調査だけで既に77億円
日本共産党の笠井亮議員が衆院予算委員会集中審議(二十一日)でおこなった追及は、採算性を度外視し、業界と天下りのための道路建設計画を推進する無謀さと、道路特定財源の弊害をくっきりと浮き彫りにしました。その異常さには与党席からもヤジが飛び、政府も計画を再検討する考えを表明せざるをえませんでした。
失敗認める
笠井氏が最初にとりあげたのは、全国一の大赤字路線といわれる「東京湾アクアライン」です。神奈川県川崎市と千葉県木更津市を結ぶ自動車専用の有料道路で、総額一兆四千四百億円を投じて建設されたものです。
笠井 この道路は成功したと思うか。
福田康夫首相 計画交通量と実績が大きく乖離(かいり)してしまった。この事態は、厳しく認識している。
冬柴鉄三国交相 猛省しなければならない。
笠井氏は「アクアライン」着工決定時の道路公団総裁まで「採算が取れないことは分かっていた」「政治決定が出た以上、(交通量など)虚偽の数字を出すため鉛筆をなめざるを得なかった」とマスメディアに述べていることも示し、「政治の責任は明らかだ」と指摘しました。
さらに6本
にもかかわらず、東京湾には、このほか「第二アクアライン」と呼ばれる「東京湾口道路」をつくる計画まであります。
笠井 この道路は、いくらかかると見積もっているのか。
冬柴国交相 調査していない。
笠井氏は「(『アクアライン』で)失敗しといて、調査もしていないとは、全くひどい話だ」と批判。与党席からも「(東京湾に)まだつくるのか」という驚きの声があがりました。
湾の入り口や海峡などをつなぐ巨大な横断道路計画(海峡横断道路プロジェクト)は、ほかにもあります。
平井たくや国交副大臣は、東京湾口道路をふくめ六つもの巨大横断道路計画(伊勢湾口道路、紀淡連絡道路、豊後伊予連絡道路、関門海峡道路、島原天草長島連絡道路)があることを認めました。
笠井氏は、福田首相が、このプロジェクトを「夢のある話」と答弁していることを挙げ、「採算の保証なく、大赤字の前例しかない。無謀だ。『夢』というなら『悪夢』だ」と批判すると、議場がどっとわきました。
天下り団体
「調査しているだけだ」と弁明する冬柴国交相。笠井氏は、費やした調査費の総額をただしました。
しどろもどろになりながら平井副大臣は、約七十七億円を投じたことを認めました。
しかし、笠井氏がどこが請け負っているのかをただすと、平井副大臣は「特定は困難だ」として明らかにしません。
そこで笠井氏が突きつけたのは、財団法人「海洋架橋・橋梁調査会」の存在です。同団体のホームページには、調査を請け負ったことが記されています。重大なのは、同団体の役員の半数以上が国交省などの天下りOBで、大手ゼネコンの大成建設会長をはじめ、建設業界幹部も名前を連ねています。(表)
笠井氏はたたみかけます。
「発注元の国交省OBと受注先の業界団体が一体となって、自分たちが将来請け負う仕事がうまくもうかるように税金で調査をしていると言われても仕方がない。『アクアライン』の失敗が繰り返されることは明白だ」
政府は、六大横断道路を含む無謀な道路計画を盛り込んだ「国土形成計画」を三月末までに閣議決定しようとしています。
笠井 とんでもない。やめるべきだ。
冬柴国交相 今日の議論等を踏まえて検討させていただく。
笠井氏は、道路特定財源を湯水のように使い無謀な計画を進める政府のやり方を批判、道路特定財源の一般財源化と暫定税率の廃止を強く求めました。
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