2008年2月22日(金)「しんぶん赤旗」

主張

「石原銀行」

まだ税金をドブに捨てるのか


 東京都の石原慎太郎知事の大失政の一つ「新銀行東京」が、重大な破たん局面を迎えています。

 開業から三年足らずで累積赤字が九百三十六億円にまで膨らみ、都が出資した一千億円のほとんどが失われました。民間に協力を頼んだもののだれも応じず、万策つきて都が再び四百億円を注ぎ込むというのです。「税金一千億円をドブに捨てたうえ、さらに四百億円を捨てるのか」とごうごうたる非難が起きています。

知事のトップダウン

 新銀行東京は東京都が主体で二〇〇五年四月に開業しました。もともと石原氏が再選を目指した〇三年の都知事選の「目玉公約」にした構想で、自治体が銀行業に乗り出す常識はずれの行動は、当初から無謀とみられました。石原氏はそれを押し切り、徹頭徹尾トップダウンで設立を強行しました。新銀行が「石原銀行」の異名をとるゆえんです。

 石原氏は「貸し渋り、貸しはがしに苦しむ中小企業への支援」を新銀行設立の表向きの旗印にしました。日本共産党都議団は構想段階から新銀行計画を徹底検証し、中小業者の役には立たないこと、あまりにも甘い見通しに立った経営計画で失敗が避けられないことを解明し、その中止を強く要求しました。

 事実、開業した新銀行は、他行より高利で預金を集めながらそれに見合う運用ができず、苦し紛れの融資攻勢で不良債権の山を築きました。都民が期待した中小業者への支援という点では、そもそも小零細業者など相手にしておらず、融資しても他行の二倍、三倍、10%などという高利をとるとんでもない銀行でした。

 決算発表のたびに赤字が膨らみ、日本共産党はほとんど毎回の都議会で、早期の撤退を求めてきました。それを聞き入れず、「まだ大丈夫だ」と拒み続けたのも石原氏でした。

 石原氏はいまになって新銀行東京の「乱脈経営」に言及、経営陣の責任を追及すると言いだしました。しかし、だれよりも重い責任を負わなければならないのが石原氏その人であることは明白です。

 驚きに値するのは、この大失策にも何の反省もせず、居直る石原氏の態度です。四百億円の追加出資を都議会に提案した後、石原氏は記者団に「(新銀行を)つぶすわけにはいかない。つぶしたら都民にもっと迷惑かけますから」と語りました。しかし、破たん処理を先送りすれば、都民の被害は拡大するばかりです。

 石原氏のこれほどまでのおごりと暴走を許してきた都議会の「オール与党」の責任も問われます。自民、民主、公明は、新銀行東京でも「開業により東京発の金融改革はまた新たな一歩を踏み出す」(自民)、「非常に力強い夢とロマンの持てる新銀行」(民主)、「中小企業の味方」(公明)と大絶賛をくりかえしてきました。今回の四百億円追加出資まで唯々諾々と追認するなら都民への背信の罪はきわまります。

もう都民だましは通じぬ

 石原氏は当初の一千億円出資強行のさい「税を再び投入することは考えておりません」と議会で明言し、その後も追加出資はありえないと言ってきました。今度のやり方は、最悪の都民だましです。

 日本共産党は、新銀行へのいかなる追加出資も許さず、ただちに第三者による委員会を設置し破たん処理に踏み出すこと、そのさい預金者保護と中小企業への融資の保全に万全をつくすこと、石原知事の責任を明確にすることを求め、都議会での徹底審議に全力をあげます。


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