2008年2月19日(火)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

平和な島を返せ

沖縄・米兵少女暴行事件

衆院予算委 赤嶺議員、政府を追及

県民代弁 「人殺し部隊と共存できぬ」


 「本気になって米海兵隊撤退、基地削減・撤去に踏み出さない限り、また同じ事件が繰り返される」―。日本共産党の赤嶺政賢議員は十八日の衆院予算委員会で、米海兵隊員による事件・事故が何度繰り返されても、まともな対策を打ち出せない政府の姿勢を告発し、その根源である海兵隊の撤退を政府に迫りました。


 十日に起きた暴行事件では、基地外に居住している米海兵隊員がウソで女子中学生を連れ出し、少女はいったん逃走したものの、再び拉致され、暴行されました。

 赤嶺氏は、少女がつなげっぱなしにしていた携帯電話から「シャラップ(黙れ)」という男の声と少女の泣き声が聞こえてきたと報じられていることも示し、「少女に落ち度はない。絶対に起こってはならない許されない事件だ」と厳しく批判しました。

犯罪の続発

 そのうえで、一九九五年の少女暴行事件に抗議した県民総決起大会で、高校生代表が「私たちに静かな沖縄を返してください。軍隊のない、悲劇のない、平和な島を返してください」と訴えたことを挙げながら、政府の姿勢をただしました。

 赤嶺議員 いまなお、米兵におびえ、事故におびえ、危険にさらされている。政府は責任をどう考えているのか。

 高村正彦外相 事件については(赤嶺)委員と怒りを共有する。再発防止に向け最善を尽くしたい。委員と意見が違うところは、安保条約は必要だということだ。

 赤嶺氏は「こんな事件が繰り返されても、安保条約は必要だという。この態度に怒りを覚える」と批判。今回の事件直後にも、海兵隊員が民家侵入や飲酒運転で逮捕されたことを挙げ、「『綱紀粛正』も『再発防止策』も全く効果を出していない」と告発しました。

机上の空論

 さらに赤嶺氏は、今回の事件を受け、政府が検討している基地外居住の米兵への「再発防止策」の内容をただしました。

 高村外相は、基地外居住の米兵への「教育」を挙げ、「われわれも被害に遭っている側だ。(米側に)注文もつけていきたい」と答弁。赤嶺氏は「日本政府が『被害に遭っている』とは、とんでもない。基地を提供しているのは日本政府だ。日本政府も加害の一翼を担っているのだ」と厳しく批判しました。

 赤嶺氏 基地外居住の実態を把握しているのか。基地外居住をやめさせることを考えているのか。

 石破茂防衛相 沖縄防衛局から照会し、(沖縄では)昨年九月現在で六千九十八戸だ。人数は把握していない。

 政府は、沖縄県内での基地外に居住する米兵数も把握しておらず、基地外居住の中止を求める考えも示しませんでした。

 赤嶺氏は、高村外相が、基地外居住の中止について“憲法上できない”と主張していることを挙げ、「県民は、基地内にお墓があっても自由に出入りできない。先祖のお墓参りという憲法上の権利さえ認められていないのに、なぜ米側には“憲法上の権利だ”というのか。その神経が分からない」と批判しました。

 このほか政府は、米軍との日米共同パトロールも検討しています。しかし、共同で逮捕しても、地位協定に関する日米合意に基づき身柄は米側に移されてしまう危険があります。赤嶺氏は「(政府の『再発防止策』は)机上の空論だ。何が必要かを真剣に考えるべきだ」と強調しました。

占領者意識

 そこで赤嶺氏が取り上げたのが、北谷町の野国昌春町長が小野寺五典外務副大臣との会談で語った「米軍による占領意識」の問題です。

 赤嶺氏が「『占領意識』とは、どういうことかわかるか」とただすと、高村外相は「見下しているということがあったら問題だが、米軍全体にあるとは承知していない」と米軍を擁護しました。

 しかし、実態は全く違います。

 九五年の少女暴行事件では、米太平洋軍司令官が「カネさえ払えば女性を手に入れることができるのに」と発言(同年十一月)。二〇〇一年に沖縄県議会で海兵隊削減を求めた決議が採択された際には、当時の県知事らが反対の意思を示さなかったとして、在沖縄米四軍調整官は「彼らは腰抜けだ」と私信メールを送ったことも発覚しています(同年二月)。

 赤嶺氏は、こうした米側の発言を挙げ、「これは占領意識ではないのか」と追及すると、高村外相は「『占領意識』かどうか分からないが、不愉快な言葉だ」と答弁。

 赤嶺氏は「これが『見下している』ということだ」と畳み掛け、こうした占領者意識を持つ米軍=在沖縄海兵隊が「キル(殺す)」という言葉を合言葉にする“殴り込み部隊”であり、「(その存在こそ)米兵犯罪の大本だ」と強調しました。

 かつて米兵に暴行され、何度も自殺をはかった女性の「人殺しの訓練をしている人が、すぐそばに住んでいるのがおかしい。性犯罪の温床にもなる米軍基地の撤去を」という言葉を切々と読み上げて――。

 赤嶺氏 今回の県議会の決議も海兵隊削減だといっている。「再発防止」とは、海兵隊撤退のために努力することだと考えないのか。

 高村外相 (米軍再編でグアムに移し)海兵隊員八千人を減らす目標実現に全力を尽くす。

 赤嶺氏は、グアム移転計画でも、海兵隊は約一万人も沖縄に駐留し、主力部隊は残り続けることを指摘し、海兵隊の撤退以外に米兵犯罪の根絶はありえないと重ねて強調しました。



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