2008年2月5日(火)「しんぶん赤旗」
命救う砦 救急病院“満床”
今、問われるのは政治
医師不足・経営難打開を
山下議員追及
「緊急医療の現場で医師も救急隊員も日夜がんばっている。今がんばらなければならないのは政治だ」―。日本共産党の山下芳生議員は4日の参院予算委員会で、救急医療の深刻な実態を突きつけ、国の医療政策の抜本的転換を強く求めました。「その通りの現状です。よくぞ言ってくれました」(九州の救急隊員)など多くの反響が寄せられました。
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山下氏は今年一月、東大阪市で交通事故に遭った男性(49)が、五つの救急救命センターに受け入れを拒否されて死亡した事例を紹介。現地調査の結果、すべて「処置中」「満床」で、患者を受け入れられなかったことを明らかにし、背景に「二次救急医療」から病院が次々撤退している実態(大阪府の例=図)があると指摘しました。
救急医療は(1)比較的軽い患者を受け入れる初期救急医療(2)入院が必要な患者を受け入れる二次救急医療(3)重篤患者を受け入れる三次救急医療(=救命救急センター)からなります。しかし、「二次救急」病院が減ったため、患者が「三次救急」に流れ、「最後の砦(とりで)」がいつも「処置中」か「満床」に近い状態になってしまっているのです。
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山下氏は、「“救えたかもしれない命を救えなかった”という事態を繰り返さないため、根本問題にメスをいれるべきだ」とのべ、「二次救急」減少の大もとにある医師不足や診療報酬引き下げ問題を指摘。これに対し、舛添要一厚労相は地域医療のネットワークづくりをいうばかりで、「最大の問題は二次、三次の医療機関にいかなくてもいい(軽い症状の)人までいってしまうことにある」などと患者に問題があるかのような答弁を繰り返しました。
山下氏は、現場の医師からも、政府の医療政策の「ゆがみ」を批判する声があがっていることを強調。「政府の低医療費政策の根本転換こそ必要だ」と述べ、政府の姿勢を厳しく批判しました。
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