2008年1月28日(月)「しんぶん赤旗」

国民の利益を守って

日本共産党国会議員に聞く

大企業も動かす若者の連帯

現場歩き横暴告発

塩川鉄也衆院議員


 非正規雇用が拡大する一方で、大企業は巨額の収益をあげています。大企業優遇政治の実態を告発してきた日本共産党の塩川鉄也衆院議員に聞きました。


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 ―大企業職場の調査をしていますね。

 この二年の間に、シャープ・亀山工場(三重)、トヨタ本社、トヨタ系列・光洋シーリングテクノ(徳島)、松下プラズマディスプレイ・尼崎工場(兵庫)、キヤノンの大分と宇都宮の工場などに調査に入りました。

働く貧困前提

 これら大企業の最新鋭工場に共通するのは労働者の大半が派遣・請負などの間接雇用だということです。キヤノンの生産現場は75%、松下尼崎工場は千百人のうち八百人、亀山工場は四千人のうち千五百―千六百人がそうでした。その大半は若者です。大手メーカーの生産現場はワーキングプア(働く貧困層)を前提にして成り立っているのです。

 これは大企業優遇政治の結果です。労働者派遣法が改悪されるのと一体に、産業活力再生法が一九九九年に自民、自由、公明の賛成で成立しました。この「産活法」は、企業がリストラ・人減らしをすればするほど減税などで支援するもので、非正規労働者を大量に生み出し、地域経済の疲弊を招いてきた法律です。昨年四月には、二〇一六年まで延長することが、自民、公明、民主の賛成で決まりました。

 この法律のもとで、例えば松下電器は松下プラズマディスプレイという新会社を立ち上げましたが、新規採用はゼロで正社員はごく一部、大半が非正規労働者です。ここに国が税制面で支援を行いました。

 ―自治体も雇用、税収が増えると大企業誘致を競い合っています。

 補助金の上限額が百億円規模になっている自治体もあります。私の質問に甘利経産相は「正しい地域間競争のやり方ではない」とのべざるをえませんでした。ところが、昨年成立した企業立地促進法は、設備投資減税や立地の規制緩和などを盛り込む一方、安定した雇用確保の方針はなく、撤退の歯止めもありません。ここでも大企業に至れり尽くせりです。

 誘致した自治体の実情はどうか。〇六年に調査したシャープ・亀山工場の場合、県と亀山市は百三十五億円の補助金を約束しました。一万二千人の雇用創出といわれていましたが実際に工場で働くのは請負企業含めて四千人、地元新卒採用は四年間で二百二十五人でした。ワンルームマンションが建ち、そこに住民票も移さない派遣社員がローテーションで入るんです。固定資産税の九割相当額を交付金として“還流”するために、実際に使える収入は一割しかない。しかも、見かけ上は大幅税収増となったため国から地方交付税を受け取れなくなり、財政を圧迫していました。

 ―偽装請負が社会問題化し、派遣労働者のたたかいが広がっています。

 党議員団は大企業職場の偽装請負と無権利状態の派遣労働者の問題を繰り返しとりあげてきました。市田書記局長はキヤノン、松下などの偽装請負問題をとりあげ、安倍首相(当時)は「厳格に対応」すると約束しました(〇六年十月)。私も繰り返し国会で追及してきましたが、光洋シーリングテクノの偽装請負問題で、二階経産相(当時)から「非正規雇用者の立場も経営者として考えていかなくてはならないのは当然だ。現状がどうなっているか注意を払って調査したい」と答弁(〇六年三月)を引き出しました。その後、光洋の是正を求めた労働者の粘り強いたたかいとあいまって労働者が直接雇用され、正社員への道が開かれました。

 党議員団がこうした大企業、派遣労働の実態を調査し、国会で告発、是正を求めていくことができるのは、日本共産党が財界・大企業から一円も献金を受け取らない政党だからです。民主党も不安定雇用や低賃金問題をとりあげますが、それを政府が後押ししているところまではいかない。

懇談積み重ね

 この間、派遣労働者たちと懇談を積み重ねていますが、若者たちは、結婚もできない、家庭ももてない、「俺の将来はホームレス」といいます。その若者たちが「このままでは腐っていく」「仕事に愛着がある。働きつづけたい」と、勇気をもって告発し、連帯の輪が広がり、職場、大企業を動かしています。私たちもこのたたかいに励まされています。引き続き連帯し、無法の告発、派遣法の抜本的改正、本格的規制を求めてがんばっていきたい。聞き手・村木博


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