2008年1月4日(金)「しんぶん赤旗」
無利子奨学金から締め出し
10万人 つらい春
希望者急増に枠広げず
今春受験の高校生
日本学生支援機構(旧日本育英会)の無利子奨学金を受けられない今春大学受験予定の高校生が十万人にものぼることが、三日までに明らかになりました。政府は、〇八年度予算案でも有利子奨学金を七万四千人増やす一方で無利子枠は千人増とほぼ据え置きです。「受験生の願いにこたえて無利子奨学金の拡充を」との運動が始まっています。
同機構によると、無利子奨学金の貸与基準を満たし申請する高校三年生は年々増えています。二〇〇六年度分(〇五年度に申請)は九万八千五百九十五人、〇七年度分は十一万四千九十七人でしたが、二〇〇八年度分は十三万八百八十七人に急増しています。成績と収入を貸与基準とする奨学金の申請者が増えている背景には、低所得者層の拡大があります。
一方、高校三年生が予約できる無利子奨学金は、〇六年度分三万三千九百七十四人、〇七年度分三万三千九百八十四人、〇八年度分三万三千九百八十五人とまったく増えておらず、急増する希望者の願いに背を向けています。
同機構では、無利子枠から漏れた高校生のうち、九割までは有利子奨学金を併願し、受けることにしているので奨学金は受けられるとしています。しかし、有利子奨学金を併願しなかった高校生も一万人近くおり、これらの高校生は奨学金のめどがたたないまま、受験期を迎えようとしています。
大学の初年度納付金(授業料を含む)は国立で八十二万円、私立で百三十一万円(平均)で世界一の高さ。奨学金を受けられずに進学を断念、入学しても「バイトばかりの生活」を強いています。
安心して受験し、大学生活がおくれるように奨学金制度の拡充が求められています。
昨年十二月には、全労連や全学連をはじめ全教、日高教、全国私教連、特殊法人労連などが「国民のための奨学金制度の拡充をめざし、無償教育をすすめる会」を結成しました。七日に今年初の会合を予定しています。
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