2007年12月17日(月)「しんぶん赤旗」
後期高齢者医療制度
長寿に“制裁”
2つの仕掛け 底無し負担増
来年四月実施予定の七十五歳以上を対象にした後期高齢者医療制度で、保険料の高さが各地で大きな問題になっています。しかも、今後さらに保険料を引き上げる仕組みになっており、いったん制度が始まれば、際限ない負担増を強いられることになります。
後期高齢者医療制度では、七十五歳以上のすべての人が保険料を支払います。原則として、年金から天引きされます。
保険料は都道府県ごとに決まります。厚労省が「平均的な厚生年金額」としている年金収入二百八万円の単身者でみると、四十二道府県で同省の試算(年七万四千四百円)を上回っています。
しかも、保険料はこれにとどまらず、二年ごとの改定のたびに値上げされる仕組みです。
一つは、医療費の増加による値上げです。
患者の増加や医療技術の進歩などによって、医療給付費は今後も増える見込みです。その一割を七十五歳以上の保険料でまかなう設定にしているため、給付費が増えれば保険料も増える仕掛けになっているのです。
同じ仕組みの介護保険では、三年ごとの保険料改定のたびに値上げが繰り返されてきました。後期高齢者医療制度でも、将来の値上げは確実です。
さらに、七十五歳以上の人口が増えると保険料を引き上げる仕組みもあります。高齢化の進行に応じて、七十五歳以上の保険料の割合を、当初の一割から「12%」「15%」などと引き上げるのです。
厚労省はすでに二〇〇六年に、七十五歳以上の負担率が一五年度には10・8%になるという試算を出しています。
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」(〇六年十二月)をもとに試算すると、七十五歳以上の保険料の割合は三五年度には14・6%に達し、保険料は約三万四千円もの値上がりとなります。(表)
年をとれば自然に医療費がかかる高齢者だけを一つにまとめた制度の、根本的な欠陥です。
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