2007年12月15日(土)「しんぶん赤旗」
派兵に固執 国会越年
31日間 自公が再延長強行
佐々木議員が反対討論
自民、公明の与党は十四日の衆院本会議で、対米公約である新テロ特措法案を今国会で成立させるために、十五日までだった会期を来年一月十五日まで三十一日間再延長する発議を、賛成多数で可決しました。日本共産党、民主党、社民党、国民新党の野党は反対しました。
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採決に先立ち、反対討論に立った日本共産党の佐々木憲昭議員は、会期の再延長について、自衛隊をインド洋に再派兵する新テロ特措法案を何が何でも成立させるものであり、「断じて認められない」と批判しました。
佐々木氏は、同法案が米軍などによる対テロ報復戦争を支援するものであり、アフガニスタンで進みつつある和平の探求にも逆行するものだと強調。「いま日本がなすべきことは、アフガンの和平を促進する外交努力だ」と述べ、その障害になっている軍事掃討作戦の中止を米国に求めるべきだと主張しました。
そのうえで佐々木氏は、今国会が、先の参院選で示された国民の審判にどう向き合うかが問われたと指摘。石油などの生活物資の値上げや、繰り返される増税・負担増、「消えた年金」など、塗炭の苦しみをなめている国民の生活実態を示し、「いま政府が最優先で取り組むべき仕事は、国民の暮らしを守る対策だ。再延長し新テロ特措法案をごり押しすることではない。会期再延長は、わが国の議会政治に重大な汚点をのこす」と批判しました。
会期の再延長は竹下内閣による消費税導入とリクルート疑惑で国会が紛糾した一九八八年十一月以来。「越年国会」は細川内閣が小選挙区制導入の「政治改革」関連法案をごり押しした九三―九四年以来十四年ぶりとなります。与党は通常国会を一月十八日に召集する方向で、事実上の通年国会となります。
新テロ法案
再議決許さない国民世論を
志位委員長会見 共産党、廃案へ全力
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日本共産党の志位和夫委員長は十四日、国会内で記者会見し、与党による会期再延長の強行について「新テロ特措法案を何が何でも力ずくで通そうという一点を目的にしたものであり、強く抗議したい」と述べました。
志位氏は、「与党がやろうとしているのは結局、衆院の三分の二による再議決で法案を成立させるというシナリオだが、それを許さない国民の世論をつくることが、今後のたたかいにとって一番大事だ」と指摘。「この法案を廃案に追い込んでいくために今日を新たな出発点にして力を尽くしたい」と表明しました。
志位氏は、(1)新テロ特措法案は「テロの根絶」を掲げながら米国の報復戦争を支援するものだが、それはアフガニスタンの現状をいっそう悪くすることにしかならない“テロ根絶逆行法案”であること(2)同法案を推進している勢力が軍事利権にまみれていて、およそ「国際貢献」など語る資格がない勢力であること―という二つの点を強調。こうした点を国会の審議を通じて明らかにし、広く国民に訴え、年末年始に大いに運動を起こし、「国民世論の多数が法案強行に反対する状況をつくることで、与党を(衆院での)再議決ができないところにおいつめ、法案を廃案においこむために全力をあげたい」と決意を述べました。
志位氏はまた、国民生活にとって喫緊の課題として(1)薬害C型肝炎問題で、すべての被害者の一律救済(2)年金記録問題の解決への道すじをつける(3)原油高騰に対する緊急措置の実施―の三点を挙げ、政府の対応を求めていく考えを示しました。