2007年12月3日(月)「しんぶん赤旗」
農業 農民
千葉・東総農民センター 粘り強い申請運動
免税軽油
米価暴落で大変な時です
使ってますか
原油高騰が農業生産にも重くのしかかっていますが、農機具のディーゼルエンジンに使う軽油の税金(軽油引取税)は、免除される制度があります。申告した農家だけに適用されるもので、書類の煩雑さもあり利用者は多くありません。農民連(農民運動全国連合会)では、米価暴落で経営が厳しいなかでこそ、学びあって活用を広げることを呼びかけています。(中沢睦夫)
千葉県の東総農民センター(農民連加盟)は、農業用免税軽油の申請を一九九四年からしています。当初から申請運動をしたという依知川智さん(70)は「税金申告の学習会で免税軽油の制度があるということを知った。みんなで研究して申請書をつくった。一人ではとてもできなかった」と振りかえります。
免税軽油を申請するには、実際にどのくらいの面積を耕作しているかの証明を農業委員会から取り寄せる必要がありました(二年に一度更新)。使用軽油の数量や引取予定販売業者などを書き、県の税務事務所に書類を提出し「免税軽油使用者証」の交付をうけます(二年の有効期限)。そして“金券”となる「免税証」の交付をうけることができます。「はじめは農協でもガソリン・スタンドでも免税証を渡しても制度が分からずいい顔をしなかったものだよ」と依知川さん。十年以上の実績があります。「今はどこでも制度が知られている」と笑顔を見せます。
コツは作業計画
免税制度を活用するためにもう一つ必要なのは、免税軽油の使用実績簿づくりです。何月何日にトラクター用に何リットル使ったかという書類です。
二千リットル分の免税証の交付を受けている秋山清寿さん(64)は、「昔は『面倒だな』と思って申請しなかったが、年間作業計画をつくるとそう難しくないね」と語ります。
稲作四ヘクタールと畑五十アールほどを耕しますが、トラクターやコンバインの軽油量は作業面積に応じて一定しているといいます。
「使用実績簿作りのため、後で作業を思い出すのは大変だ。冷暖房完備のトラクターであり、暑くても寒くても農作業が計画通りできて使用量が分かるよ」といいます。
申請の簡素化を
東総農民センターでは、最高で二十四人が申請をしたことがありましたが現在は半分になっています。事務局を担当する今井睦子さんは、大規模稲作組織から「申請したいが教えてほしい」との問い合わせがくるなど、免税軽油に関心が高いと感じています。申請の減少については「以前は組合員の書類をまとめて申請しても県は受け付けてくれた。今は農家個々での申請となったため一人ひとり手間がかかる」と原因を分析します。
農業用免税軽油については、「県によって対象の機械に違いがあるなど運用に差がある」(農水省生産技術課)という状況です。
農民連常任委員会で税金を担当する村尻勝信副会長は申請手続きの簡素化について、「農民組織が一括申請しても受け付ける県もある。耕作面積で使用は分かるのだから、不正防止は注意をうながすだけで十分だ」と指摘します。そして、「免税軽油の制度を知らない農家も多いが米価は生産コストを下回る大変な暴落が続いている。制度活用のため粘り強い運動が必要だ」と話しています。
農業用油免税措置 ディーゼル燃料の軽油にかけられている軽油引取税(1リットルあたり32.1円)は、都道府県税です。道路建設や補修費の目的税となっています。トラクター、野菜栽培管理機、畜産用機械などは道路で使うものでないため免税になっています。農家が使用量を申告して「免税証」を受ける仕組みになっています。不慮の事故などで作業ができないときは返却します。野菜や花などのハウス暖房につかうA重油は、輸入企業や製油企業にたいし石油石炭税の免税措置(1キロリットルあたり2040円)がとられています。