2007年11月29日(木)「しんぶん赤旗」
守屋前次官を逮捕
ゴルフ接待、わいろ
収賄容疑 政治家の関与注視
東京地検
穀田氏が会見
防衛装備品の調達をめぐり、ゴルフ旅行の接待を受けた見返りに便宜供与を図ったとして、東京地検特捜部は二十八日、前防衛事務次官の守屋武昌容疑者(63)を収賄容疑、妻の幸子容疑者(56)を同容疑の共犯として逮捕しました。特捜部は丸抱えの接待ゴルフ旅行をわいろと認定、防衛省に君臨した「大物次官」と軍需商社の癒着は、汚職事件に発展しました。同事件を端緒にした軍事利権疑惑は、政治家関与の有無も注視される事態となっています。
特捜部は、軍需商社「山田洋行」元専務の宮崎元伸容疑者(69)を贈賄容疑で再逮捕。多額の現金が守屋容疑者側に渡っていた疑いもあるとみています。
調べによると、守屋容疑者は、自衛隊の装備品納入で便宜を図った見返りに、次官在任中の二○○三年八月九日から○六年五月六日にかけ、宮崎容疑者から北海道へのゴルフ旅行など十二回、計約三百八十九万円相当の接待を幸子容疑者とともに受けた疑い。
接待はいずれも泊まりがけのゴルフ旅行で、ほかに福岡、長崎、熊本各県などを訪れていました。収賄額は夫妻二人分の経費で、一回に二十万―四十万円掛かっており、全額を山田洋行側が負担していました。
接待について、守屋容疑者は、わいろだったと認めているとみられます。
幸子容疑者はすべての接待旅行に同行。特捜部は、次官の妻として接待を受けているとの認識があることから、収賄容疑の「身分なき共犯」に問えると判断しました。
航空自衛隊の次期輸送機(CX)や、海上自衛隊の新型護衛艦のエンジンの選定・納入などで、宮崎容疑者寄りの発言を守屋容疑者がしたことも判明しています。
また、○一年十二月に発覚した海上自衛隊の装備品をめぐる同社の請求水増し問題で、同容疑者側の説明通りに口添えしたことも明らかになっています。
守屋容疑者は国会の証人喚問で、宮崎容疑者との宴席に額賀福志郎財務相(元防衛庁長官)、久間章生元防衛相が同席したことを証言しています。
特捜部は二十八日、宮崎容疑者らを業務上横領罪などで起訴しました。
日米軍事利権解明に全力
穀田氏が会見
日本共産党の穀田恵二国対委員長は二十八日、守屋武昌前防衛事務次官の逮捕について国会内で記者会見し、「防衛省の役人のトップだった人物が逮捕された重大な事件だ。前次官の犯罪の全容、さらには政治家の関与という点でも解明が求められている」と述べ、関係者の証人喚問など全容解明のために全力をあげる決意を述べました。
穀田氏は、今回の防衛省疑惑の以前にも、旧防衛庁の調達実施本部、防衛施設庁をめぐる一連の事件があったことを振り返り、「まさに軍事組織の中枢が腐敗している」と強調しました。
さらに穀田氏は、自衛隊が海外派兵型に移行した一連の時期に、守屋容疑者が主導的な役割を果たしてきたことにふれながら、事件の背景にアメリカに従って海外派兵を拡大してきた政府の方針や、軍事予算を「聖域」としてきた問題があると指摘しました。
穀田氏は、守屋容疑者を重用してきた自公政権の責任も「きわめて重大だ」と強調。「問題の中心にある日米軍事利権をめぐる総合的な疑惑の解明に党としては全力を尽くしたい」と述べました。
額賀福志郎財務相の問題についての問いには、「単なる宴席出席疑惑とは違う。『口利き』疑惑や『お車代』疑惑などさまざまな疑惑がある」と徹底解明を求める姿勢を示しました。